賃貸オフィス契約時の初期費用とは?内容・目安料金・抑え方のポイントを紹介
自宅で起業しない場合、いつかは事務所を借りなければなりません。しかし、オフィスを賃貸するときには住宅と色々異なる点が出てくるもの。どのような項目にどの程度の費用がかかるのか、不安に思う方もいるでしょう。
本記事では、賃貸オフィスにかかる初期費用について紹介します。
目次
賃貸オフィスの初期費用とは
賃貸物件を借りる際にかかる最初の費用を初期費用と呼びます。オフィスの場合も一般的な賃貸物件と同じく礼金や前払いの賃料がかかりますが、オフィスの方がより高額です。
初期費用の内訳
物件を借りるときには、家庭用でも事業用でも初期費用と呼ばれる最初に支払うお金が必要です。そして、事業用物件を借りるとなると、居住用物件を借りるときとは動くお金の単位が変わってきます。
オフィスを借りる際にかかる初期費用の代表的な内訳は以下の通りです。
- 保証金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前払いの賃料
- 火災保険料
- 委託料
ただし一般的には、これにプラスして電話やLAN工事費用、パーテーションなどの設置費用、引っ越し費用、家具家電費用などが加算されて「初期費用」と考えることが多いでしょう。ここで紹介する内訳は、あくまでもオフィス物件を借りるときにかかる費用についてです。
保証金
保証金は敷金と言われることもある、保証のための費用です。借主が部屋を損傷したり、汚したりしたときの修繕費用として先に支払わなければなりません。また、何等かの事情で賃料が支払えなくなったときのためにもかかる費用です。
たとえば家賃が15万円するオフィス物件を借りた場合で保証金が家賃6カ月であれば、入居時に一時金で90万円を支払わねばなりません。そのため、予算にしっかり組み込んで考えておく必要があります。
賃貸契約を解除するときに上記のことが何もなければ返却されますが、これは退去時ではなく契約終了時のこと。また、償却分は差し引かれるため、全額返還されることはありません。
礼金
物件を貸してくれる大家さんへ支払うお礼金です。相場は賃料の1カ月分程度。あくまでも大家さんへのお礼であるため、退去時や契約解除時の返金はありません。
ただし、オフィス物件での礼金はないことも多くなっています。
仲介手数料
物件情報の提供や契約条件の交渉、重要事項の説明など契約におけるさまざまな取引を成立させてくれた、不動産会社へ支払う手数料です。国土交通省の規定により、賃料の1カ月分が上限と定められています。
前払いの賃料
基本的に、家賃は前払いで支払うもの。そのため多くの物件で、入居する月からかかる賃料の前払いが必要なものがあります。相場といってもばらつきがあり、1か月分で良いところもあれば、4カ月分の支払いが必要な場合もあるでしょう。
火災保険料
火災保険はどんな建物に入るときにも必要です。建物に火災が発生したときに、建物本体と中にある什器や家具といった動産を補償するために加入します。多くの賃貸オフィス契約が2年であることから火災保険も2年契約とする企業が多く、費用相場は年間1万5,000円前後です。
火災保険という名前ですが、その対象は風災や落雷、水害、水漏れ、さらに盗難までカバーされており、日常生活の事故でも対応可能です。ただし、地震や噴火、津波などを原因とする損害は対象外。また地震による火災も対象にはなりませんので注意してください。
委託料
オフィスの賃貸物件を借りる場合には、通常、連帯保証人が必要です。しかし設立から日が浅かったり外国籍の方がオーナーであったりと、さまざまな壁があって連帯保証人を立てられないケースも珍しくありません。
そんなときには保証会社と契約するのですが、そのときに支払うのが委託料です。つまり、連帯保証人を用意できるのであればこちらは必要ありませんが、万が一の場合を考えて予算に組み込んでおくと安心です。
賃貸オフィスの初期費用の相場
オフィス物件の立地や階数、広さなどさまざまな要因によって金額は変わるため、ここではあくまでも目安として考えてください。
例として、賃料を30万円と仮定すると初期費用の内訳は次の通りです。
- 保証金:約180万円
- 礼金:約30万円
- 仲介手数料:約30万円
- 前家賃:30万円(1か月分の場合)
- 火災保険:約2万円
ここに家具や家電、設備費が加わるため、350万円程度です。
保証金(敷金)が何カ月分かによって賃料は同じでも初期費用は大きく違います。たとえば上記の例で保証金が6カ月必要だと180万円ですが、これが1年分必要であれば360万円に跳ね上がります。
多目に見繕っておけば後々慌てることはありません。そのため、通常、賃貸オフィスの初期費用では、月の賃料に12か月分をかけた金額を目安として考えることが最適です。
賃貸オフィスの初期費用を安く抑えるポイント
初期費用はいずれにせよかかるお金ですが、できるだけ安く抑えたいと考えるのは自然なこと。では、賃貸オフィスの初期費用を安く抑えるポイントを4つ確認しましょう。
ポイント①固定費の削減
固定費と言えば保険料や家賃、サブスクリプションサービスの費用などですが、起業初期の段階で最も高い固定費は間違いなく賃料です。つまり初期費用を抑えるには、いかにオフィスの賃料を抑えるかがポイント。費用を抑えられるレンタルオフィスやシェアオフィスなどを検討してみてください。
レンタルオフィスやシェアオフィスなら、維持費や保険料が高い通常のオフィス賃貸よりも安くスタートできます。
関連記事:賃貸オフィスとレンタルオフィスの違い!メリットやデメリットを理解しよう
ポイント②広告や宣伝費の節約
宣伝広告費も削りやすいポイントです。
ホームページや自社ECサイトを作るのであれば、外注するよりも自分たちで制作した方が圧倒的に安く済みます。今は無料のサービスで高品質なサイトを手作りできるものも多いため、特別な知識や経験、技術は必要とされません。まずは自分たちでやってみると宣伝広告費を大きく抑えられるでしょう。
ポイント③法人化のタイミング
オフィス物件を借りて事務所を設立することの一番のメリットは、取引先企業への信頼度が高くなるという点です。それはつまり、法人ではない個人事業主やフリーランスの場合には事務所を借りる必要がないということ。独立するからといって、必ずしもオフィスを借りなければならないわけではありません。
事業収入が1000万円を超えたら法人化するとか、人を3人以上雇ったら事務所を設立するとかなど、目標を決めて動くことが大切です。
それまでは自宅やコワーキングスペース、レンタルオフィスなどを使ってもよいでしょう。
ポイント④安い立地の選択
オフィス物件を探すときには立地も重要です。平均賃料が安い地域で探すことで、初期費用と固定費を大きく抑えられます。
当然ながら、同じ地域でも駅から近いとか遠いといった条件によって賃料は違ってくるもの。川をひとつ越えるだけで数万円の差が出ることもあります。
- 中心地ではなくて郊外で探してみる
- 地方を拠点にする
- 交通が不便なところ、エレベーターがないビルなどで探してみる
以上を参考に探してみてください。中には掘り出し物に出会えるケースもあります。
オフィス賃貸の初期費用は賃料の1年分を目安にしよう
賃貸オフィスを構えるときは、その初期費用をしっかり見積もっておくと後悔する可能性が低くなります。立地などの条件によって違うためどのくらいとは言いにくいのですが、目安としては賃料の1年分を確保しておくと安心でしょう。