オフィス移転を実施する際の注意点を解説
オフィスを移転させるとなると、やることが多くて、ミスをしてしまうことがあります。
届け出すべき書類の準備を忘れていた、手続きをし忘れていたなどがその一例です。
一口にオフィス移転と言えど、大規模な業務になりますから、あらかじめいくつかの注意点を知っておきましょう。
本記事では旧オフィス・新オフィスに分け、それぞれの注意点をはじめ、各種手続きの注意点などをまとめてご紹介します。
またオフィス移転の費用を抑えるためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
旧オフィスに関する注意点
まずは旧オフィスに関する注意点についてご紹介します。
気を付けるべきポイントは2つです。
- 解約予告のタイミング
- 原状回復工事の手配
一つずつ見ていきましょう。
解約予告のタイミング
旧オフィスでの注意点は、解約予告のタイミングです。
解約予告とは、旧オフィスの賃貸契約を終了することをオーナーや管理会社に伝えることを指します。
解約予告は、移転から6か月前には伝えておかなければならないのが一般的です。
契約内容によってはそれよりも前、もしくは後に伝えることとしているものもあるので、どのような契約条件になっているのか前もって確認しておく必要があります。
旧オフィスがなかなか解約できないでいると、新オフィスとの二重で家賃を支払わなければならなくなるなどコスト面で損をする可能性もあるのです。
そのため、解約予告のタイミングは、しっかりと見計らって依頼するようにしましょう。
原状回復工事の手配
オフィスの賃貸契約は、普通のマンションとは違い、契約期間が完了するまでに原状回復工事を行わなければなりません。
また通常であれば、経年変化については原状回復の範囲外なことが多いものの、オフィスの場合は経年変化についても対応しないといけない場合もあるので注意が必要です。
契約次第で原状回復の範囲も異なるため、こちらについても契約内容をよく確認しましょう。
原状回復は専門業者に頼むのが無難です。大規模な原状回復には長くて1か月程度かかるケースもあり、早め早めに依頼すると安心です。
新オフィスに関する注意点
ここからは新オフィスに関する注意点についてご紹介します。
主に気を付ける点は8つです。
- 移転の目的の明確化
- 目的に沿った物件の選定
- レイアウトプランニング
- コストの計算
- オフィス家具の選定
- 業者の選定
- 取引先への連絡
- 住所の変更手続き
一つずつ見ていきましょう。
移転の目的の明確化
オフィスを移転させるときは、移転の目的を明確化しておく必要があります。
従業員が増えたことによる移転であれば、オフィスの敷地面積を広くすべきです。
このように現オフィスにどのような課題を抱えていて、新オフィスではどのようにして解決していかないといけないのか、などを明確化することでよりスムーズに移転をすることができます。
目的に沿った物件の選定
現オフィスの課題を洗い出したら、その目的に沿った物件を選定します。
コスト(家賃)・立地・周辺環境・設備など、あらゆる側面から物件を見て、検討しましょう。
レイアウトプランニング
旧オフィスにいる間に、新オフィスのレイアウトプランニングをしておくのがおすすめです。
レイアウトと聞くと、家具をどこに配置するか・インテリアコーディネートといった意味合いを思い浮かべがちですが、それだけではありません。
最も重要なのは「いかにして仕事をしやすい環境を生み出すか」ということです。
部署や事業部ごとに一定のスペースを確保し、働きやすいよう空間を割り振ります。
オフィスを移転させることで旧オフィスにはなかった新しい家具や機器が搬入されることも十分に考慮し、レイアウトを計画しましょう。
また反対に新オフィスに移転すれば廃棄する物も出てくるため、その分のスペースや廃棄費用も念頭に置いて考えるようにします。
コストの計算
どこにどれくらいのコストがかかるのか、そのコストは他業者と比較して妥当なのかなどを十分にチェックしましょう。
相場がわからない場合は、複数業者から見積もりを取ると、比較検討することができます。
オフィス家具の選定
オフィス家具の選定も、気を付けて行いたい作業の一つです。
機器や家具をリースしている場合は新オフィスでもリースし続けるのか、また新オフィスのレイアウトプランをもとに購入する家具を選定します。
同時に廃棄する家具があればその検討もしておきます。
業者の選定
引越し作業は、基本的に自分たちで行わず業者に任せます。
荷物の運搬・搬入だけを扱っている業者もあれば、設置まで、もしくはインターネット回線の開通工事まで任せられる業者もあるなど、多種多様です。
できれば一度にたくさんのことを依頼できた方が便利なので、そのような業者を選びましょう。
またオフィス移転の知識が豊富な従業員はあまりいません。そのため会社側が知らない知識も提供してくれるような協力的な業者だとより安心して頼めます。
取引先への連絡
新オフィス移転時に忘れてはいけないのが、取引先への移転の連絡です。
普段からお世話になっている取引先へ移転したことを伝えることは、ビジネスマナーの一つです。
対面でお知らせする必要はありませんが、丁寧な文面でメールもしくは便りで知らせましょう。また場合によっては得意先との契約時の住所が旧オフィスのものになっていることも。
そのような場合は新オフィスの住所での契約しなおしが必要かどうかも、合わせて確認すると安心です。
住所の変更手続き
オフィスの住所はオフィシャルサイトをはじめ、あらゆる媒体に掲載されています。
そのため移転したら、住所変更の手続きを忘れないようにしましょう。
もし住所変更を忘れていると大事な書類や購入した事務用品等が旧オフィスに送られてしまい、対応が遅れる可能性があります。
ホームページ以外にも法人用のクレジットカードの変更手続きなども必要なので、住所周りの変更手続きは一気に行うと忘れずに済むでしょう。
移転作業に関する注意点
ここからは移転作業に関する注意点についてご紹介していきます。
移転作業の注意点は主に3つです。
- マニュアルの作成、社員への周知
- 業者との打合せ
- 移転作業の準備・立ち合い
一つずつ見ていきましょう。
マニュアルの作成、社員への周知
移転作業をスムーズに進めるには、作業のマニュアルや社員への周知が欠かせません。
オフィスの移転が決まればできるだけ早く社員を集めて、オフィス移転の説明会を開くのがおすすめです。メールやチャットで周知してもよいものの、対面式の方が社員の不安要素をより解消しやすいからです。
またマニュアルを作成すれば、社員がいつどのように動けばいいかが明確化します。
社員の協力なくしてオフィス移転はスムーズにいかないものです。そのため荷造りごとやエリアごとで担当者を決めましょう。
業者との打合せ
業者との打合せは、入念に行いたいものです。
引越しの際に出た廃棄物は引き取ってくれるのか、スケジュールに遅れはないかなど、綿密に相談できるような業者だと安心といえます。
このような相談も都度するのではなく、移転日から遡って1~2か月前には聞いておくと当日の混乱を防げます。
移転作業の準備・立ち合い
移転当日は、準備から引っ越し中などすべてで立会いが必要となってきます。
もし運搬・搬入中にトラブルがあれば、その場ですぐに対処できるようにするためです。
自分たちが運んだ時以外にできている傷などがあれば、あとからわかるように撮影しておくとテープ等でマークしておきましょう。
そのほか搬入されるべき荷物がすべて届いているか、などもチェックしてください。
各種手続きに関する注意点
ここからは各種手続きに関する注意点についてご紹介します。
必要な手続き一覧
下記の表をもとに、必要な手続きを期限内に行いましょう。
届出先 | 書類名 | 提出期限 |
税務署 | 異動届出書・給与支払事務所等の開設、移転、廃止届出書 | 新オフィス移転後、1か月以内 |
郵便局 | 転居届 | 新オフィス移転後、できるだけ早く |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更届 | 新オフィス移転後、5日以内 |
法務局 | 本店・支店移転登記申請書 | 本店:新オフィス移転後、2週間以内
支店:新オフィス移転後、3週間以内 |
ハローワーク | 雇用保険事業主事業所各種変更届 | 変更後翌日~10日以内 |
労働基準監督署 | 労働保険名称、所在地等変更 | 変更後翌日~10日以内 |
オフィス移転の費用を削減するポイント
オフィス移転の費用をできるだけ削減するためには、依頼する業者を少なくすることです。
依頼する業者を増やせば増やすほど、費用はかさみます。
例えば「引越しから設置、内装工事までを一括で依頼できる会社」を利用すれば、別会社に依頼するときにかかる初期費用が1度で済むのです。
また1社にまとめるのには、費用以外にもメリットがあります。
それはスケジュール調整が楽ということです。一般的に工事と引越しを同日に行うのは避けますが、1社にまとめることでそのような調整も必要ありません。ワンストップで行えるのは最大の魅力です。
関連記事:オフィス移転にかかる費用はどれくらい?
オフィス移転は様々な注意点を頭に置いて動こう
オフィス移転には、あらゆる面で気を付けたい注意点があります。
移転前の計画から移転後の手続きまで、やらなければならないことがたくさんあるからです。
移転において最も大切なのは、移転する目的は何なのかを明確にしておくこと。
目的が明確になればおのずとしなければならないことや注意すべきことも見えてきます。
注意すべきことを忘れてしまいそうな場合は、チェックリストを作成し、忠実に行っていくとよいでしょう。