オフィスの賃貸借契約書とは?確認しておきたい記載事項を解説
オフィスを借りる際には、賃貸借契約書にサインしなければなりません。
契約書にサインすることは、契約書の内容に同意したこととなるため、内容を理解しないまま進めてしまうと、後々のトラブルに繋がりかねません。
そこで本記事では、賃貸オフィスをお探しの方が気を付けるべき重要なポイントや費用について解説します。
賃貸契約を進める上で知っておくべき情報を紹介しますので、参考にしてください。
目次
オフィスビルの賃貸借契約書とは
オフィスビルを賃貸する際には、賃貸借契約書が不可欠です。
賃貸借契約書は、オフィススペースの所有者(貸主)と入居者(借主)との間で締結される契約書であり、双方の権利と義務を明確にする重要な文書です。
賃貸借契約書の契約形態の種類
オフィスの賃貸借契約の契約形態は主に3種類です。以下でそれぞれについて解説します。
普通建物賃貸借契約
普通建物賃貸借契約は、オフィスや住宅、商業施設などの建物を借りる際に使用される一般的な契約形態のことです。
この契約では、借主が建物を使用する権利を与えられ、貸主はその対価として賃料を受け取ります。オフィスの場合は、2〜3年にわたる賃貸契約ですが、定期的に更新される場合もあります。
ビルの取り壊しなど正当な事由がない限り、貸主側からは解約ができないようになっており、借主側のほうが強い立場にある契約形態とも言われます。
また、賃料改定の申し出が可能となっている契約形態であるため、近隣相場で変動がある場合は申し出ができるよう、契約書内に「甲乙協議の上、賃料を改定できる」などの文言を加えてもらうようにしておきましょう。
定期借家契約
定期借家契約は、普通建物賃貸借契約と同様に建物の利用を目的とした契約ですが、あらかじめ期間が定められています。
この契約では、借主は一定期間にわたって建物を利用できる権利を持ちますが、契約期間終了後には退去する流れです。
基本的には、途中解約ができないケースがほとんどです。ただ、一部の物件、たとえばベンチャー企業向けのような中規模ビルであれば、定期借家契約でも途中解約可能としているケースもあります。
企業規模の成長スピードが早く、人員が急速に増える可能性がある場合は、途中契約が可能な契約を選ぶほうがいいでしょう。事前に解約が可能かどうか、念のため確認するようにしてください。
施設利用契約
施設利用契約は、特定の施設や場所の利用に関連する契約であり、自由度の高さが特徴といえます。
これには会議室、イベントスペース、スポーツ施設などが含まれており、利用者は一定期間内で施設を利用する権利を得られます。
一回限りの利用や短期間の利用を目的としていることが多いですが、長期的な利用も可能です。
ここで取り上げたそれぞれの契約形態は、借主と貸主の関係を規定し、利用条件、賃料、契約期間、解約条件などの詳細が明記されています。
具体的な契約内容は、契約書によって異なる場合がありますので、契約書をよく読んで内容を理解したうえで契約を結ぶようにしましょう。
賃貸借契約書で確認しておきたい記載事項
オフィスを賃貸する際には、賃貸借契約書に含まれる重要な事項を確認することが必要です。以下に、賃貸借契約書で確認しておきたい記載事項を解説します。
使用目的
賃貸オフィスの使用目的は、契約書に明記されています。
オフィススペースの利用目的が適切に定義されているかを確認しましょう。使用目的によっては制限や制約が設けられている場合もあるため注意しなければいけません。
業種が制限されている物件もあるため、自社の業務内容が使用目的で禁止されている事項に抵触しないかどうか、しっかり確認することをおすすめします。
貸借期間
契約書には貸借期間が明記されています。一般的には、2〜3年となっていることがほとんどです。その後は、自動更新になるか、あるいは更新料を支払うことで引き続き契約を継続できるようになります。
契約前に入居期間や契約の更新条件、解約に関する事項などを確認しておきましょう。とくに、長期契約を希望する場合は、更新条件や解約時の手続きについても注意しなければなりません。
契約解除
契約解除に関する事項も重要です。
解約に際しての通知期間、違約金の有無などが明記されています。将来的な事業展開や変更の可能性を考慮し、契約解除に関する条項を確認しましょう。
どのようなことをすれば契約解除にあたるのか明確に明記されていることは稀ですが、しっかりチェックしておかないと思わぬ形で契約解除となる場合があります。
気になることがあれば、事前に不動産会社や管理会社に確認するようにしましょう。
ほかには、賃料の未払いが数ヶ月続いた場合や近隣住民からのクレームが多い場合なども、契約解除に繋がる可能性があります。
とくに賃料の支払いに関しては、支払い先の口座の変更が発生することもありますので、確認漏れによる未払いなどが起きないよう、気をつけましょう。
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禁止事項
契約書には禁止事項も記載されています。
例えば、オフィス内での営業活動や特定の業種の利用制限などが含まれる場合があります。記載されている禁止事項が業務に制約を与えないか、契約書の禁止事項に抵触しないかを確認しましょう。
万が一、禁止事項を破ってしまった場合、退去を求められる可能性があります。
よくある禁止事項に「オフィスの又貸し」があり、たとえばグループ会社なら問題ないだろうと判断し、又貸しを行い、禁止事項に抵触したというケースもあります。基本的に、別法人であれば又貸しと判断されるため起こった事案です。
このように、勝手な思い込みで行った行為が禁止事項となることもあるため、事前に確認するようにしましょう。
特約事項
特約事項は、借主と貸主が合意した特別な条件や取り決めです。
特約事項には、オプションサービスの提供や改装工事の実施、賃料の見直しに関する内容が含まれる場合もあります。特約事項をよく確認し、必要な条件が適切に盛り込まれているかを確認しましょう。
原状回復義務
契約終了時には、オフィスの原状回復義務が発生する場合があります。
原状回復義務とは、契約期間中に行った変更や修繕を元の状態に戻すことを意味します。原状回復に関する具体的な義務や費用負担について契約書を確認しましょう。
また、原状回復に必要な工事を請け負う業者はあらかじめ不動産会社や管理会社が指定しているケースがあります。
保証金や契約金
賃貸借契約書には、保証金や契約金の金額と支払い方法が明記されています。
保証金は、賃貸物件の損害や滞納時の備えとして支払われる場合があります。契約金は、契約締結時に支払われる手数料や初期費用です。これらの金額や支払い条件について確認しましょう。
連帯保証人
賃貸契約においては、連帯保証人の指定が求められる場合があります。
連帯保証人とは、借主が契約違反や滞納を行った場合に代わりに債務を負う保証人のことです。連帯保証人の指定が必要かどうかを確認しましょう。
賃料の支払い方法と金額
賃貸借契約書には、賃料の支払い方法や金額が明記されています。
支払いサイクルや滞納時の罰則、家賃の改定方法について確認しましょう。また、追加費用や共益費、管理費などの負担事項も契約書に含まれている場合があります。
ここで紹介した記載事項を確認し、契約書の内容を理解した上で契約を進めることが重要です。トラブルを未然に防ぐためにも、契約書の内容について専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
オフィスの賃貸借契約を結ぶ際にかかる費用
オフィスの賃貸借契約を結ぶ際には、さまざまな費用が発生します。賃貸オフィスをお探しの方々が契約手続きを進める上で押さえておきたい費用について解説します。
預託金
預託金は、賃貸契約を締結する際に貸主に預けるお金です。
預託金は、物件の状態を保つために使用される場合や契約解除時の違約金として充当される場合があります。預託金の金額は物件や契約条件によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産業者や仲介業者に支払う手数料です。
賃貸契約を仲介してもらう際に発生するもので、手数料の金額は契約物件や不動産業者によって異なります。一般的には賃料の数か月分程度が目安です。
契約前に手数料の詳細を確認し、予算に組み込んでおきましょう。
オフィス契約には賃貸借契約書の記載項目を理解することから
オフィスの賃貸契約書についてまとめました。オフィスの賃貸借契約書には、使用目的や貸借期間、契約解除や禁止事項など、確認すべき重要な記載事項が明記されています。
専門用語も多く、つい細かい部分の確認を怠ることもあるかもしれませんが、それではトラブルの元になりかねます。
また、預託金や仲介手数料などの費用も忘れてはなりません。契約書の内容を正しく把握し、適切な判断をするために、記事を参考にしてください。