【スタートアップ企業向け】賃貸オフィスがおすすめの理由
スタートアップ企業でオフィスを構えたいと考える方が増えていますが、コスト面を考えるとスタートアップだからこそ自社オフィスを構えるのが難しいというのも事実。
そこでおすすめなのが、賃貸オフィスです。
賃貸オフィスにはいくつか形態がありそれぞれ特徴が異なるため、今回はその違いやスタートアップ企業に賃貸オフィスをおすすめする理由、賃貸オフィスの選び方などについて分かりやすく解説します。
目次
スタートアップ企業は賃貸オフィスを借りられる?
結論からお伝えすると、スタートアップ企業が賃貸オフィスを借りることは可能です。
ただし、不動産業者やオーナーによる入居審査をパスすることが条件となります。
スタートアップ企業の場合はそれまでの実績がなく、貸主側としても信頼性を図る判断材料がないため、契約者の経歴書と事業計画書が重視されます。
とはいえ、スタートアップであっても、それまでの経歴で新事業につながる実績や業績があれば考慮されるため、諦めずに積極的なアピールをすることが重要です。
もちろん事業計画書はある程度作り込まれている方が事業のイメージがしやすくなりますが、他にも人柄や熱意などが審査に影響するというケースが往々にしてあるため、審査においてスムーズに想いを伝えられるよう準備しておくことが大切です。
賃貸オフィスの種類
一口に「賃貸オフィス」といっても、実際はいくつか種類があります。
それぞれどのような特徴があるのか、その違いについて知っておきましょう。
➀居抜き
「居抜き」とは家具やオフィスのレイアウトが、前契約者が退去したままの状態で貸し出されることです。
通常、退去する際は原状回復させるのが一般的ですが、居抜きの場合はもともとオフィスとして使用されていた空間をそのまま引き継ぐことができるので、初期費用を大幅に抑えることが可能となります。
大型家具を運び込む手間もなく、入居後すぐにオフィスとして活用できるのも大きなメリットといえるでしょう。
ただし既存設備が古いなどといった理由で追加費用がかかる可能性もあるため、事前によく確認することが大切です。
②スケルトン
スケルトンとは、内装工事を行う前の状態で貸し出すことを意味します。
天井や床、壁などの内装が一切なく、希望に合わせて内装をデザインすることができるため、他に比べて最も自由度の高いことがメリットといえます。
一方、資金の少ないスタートアップ企業にとっては、高額な工事費がかかることがデメリットとなるかもしれません。
また退去時には、入居時と同様にスケルトンの状態に戻さなければならないことを念頭に置いておきましょう。
③セットアップ
オーナーなど貸主側が工事を行い、必要な設備を備えた状態で貸し出すことをセットアップといいます。
自分たちで家具や設備を用意する必要がなく、以前に入居者がいたとしても、メンテナンスをされた状態で中古感を感じることなくすぐにオフィスとして利用できるのが魅力といえます。
ただし、実際は工事費用などが賃料に上乗せされているケースもあるため、他の賃貸オフィスとの相場と比較し、納得した上で契約をするのがベターです。
④SOHO
SOHOとは「Small Office / Home Office」の頭文字を取ったもので、小さなオフィスや自宅をオフィスとして構えること、あるいはそうした働き方のことを指します。
そのため、マンションやアパートなど居住用物件を借りて、仕事場兼オフィスにするというのが一般的です。
ただし、不特定多数の人が出入りしたり大型荷物の搬入が多かったりすると、近隣住民の不安を煽ったり、クレームにつながる可能性があることから、事業用の利用を禁止しているオーナーもいます。
後々のトラブルを避けるためにも、契約前に事業用利用の可否を確認しておくことが大切です。
スタートアップ企業に賃貸オフィスがおすすめである理由
賃貸オフィスの種類についてご紹介しましたが、ではなぜスタートアップ企業にこそ賃貸オフィスがおすすめとされているのでしょうか。
その理由について、詳しく見ていきましょう。
➀法人登記できる
法人として企業を立ち上げるにあたって法人登記ができるというのが、賃貸オフィスの大きなメリットの1つといえます。
法人登記では社名や資本金額などさまざまな情報の開示が求められますが、中でも重要視されているのが本社の住所です。
住居用賃貸物件の場合、法人登記をNGとするオーナーも多く、そうなると自宅住所を本社の住所として使用することはできません。
また、自宅の住所を公開することに不安を感じるという人もいるでしょう。
賃貸オフィスであればスムーズに法人登記ができることに加えて、一般的に一流とされるエリアにオフィスを構えることもできるため、スタートアップ企業として信頼を得るのにも有効です。
②セキュリティを確保できる
賃貸オフィスを利用することで、高いセキュリティを確保できます。
少人数で事業を始めるスタートアップでは、専門の部署や人員を用意することは難しく、従業員それぞれが意識を持って、情報漏えい防止に努めなければなりません。
とくにヘッドハンティングのように外部から人員を集めるとなると、なおさらデータや情報の取り扱いについては厳重にする必要があります。
ところが、自宅やシェアオフィスなど、自社の従業員以外が気軽に出入りできる空間では、第三者から情報が漏れてしまう可能性は否定できません。
そこで賃貸オフィスを活用して、限定された人だけが情報に触れることができるシステムを構築することで、セキュリティ面を強化させることができるのです。
③レイアウトをカスタマイズできる
ある程度、好きにレイアウトを変えられるというのも、スタートアップ企業にとって大きなポイントとなるはずです。
せっかくスタートアップとして大きな一歩を踏み出すなら、オフィスとして企業のイメージに合わせた空間や、従業員のモチベーションが上がる空間を作り出したいものです。
もちろん賃貸オフィスにはそれなりに制限があり、大掛かりなリフォームなどはできませんが、ちょっとした改装ができること、一から理想のオフィスを作り出せることなどを考慮すると、勢いに乗って事業を進めていきたいスタートアップには最適といえるでしょう。
一方、自由度が高いと反対に難しいという場合は、社員が動きやすい動線を考える、フリーアドレスを導入してコミュニケーションの増加を図るなど、目的を決めてレイアウトを決定すると働きやすい社内環境を作りやすくなるのでおすすめです。
④社員同士のコミュニケーションがとりやすい
賃貸オフィスを利用して外部からの干渉を受けにくい空間を作り出すことで、社員同士のコミュニケーションがとりやすくなります。
スタートアップ企業では少人数で仕事をする分、密に連携を図りながら進めていくことが求められますが、そのためには物理的に距離を縮めてしまうのが1番です。
決して広くはない空間で、同じ目的に向けて仕事をすることで、社内の一体感も生まれるでしょう。
また、フロアの一部にミーティングルームやリフレッシュルームなどを用意すれば、ゆっくりと顧客と商談ができたり、画期的なアイデアが生まれたりといった効果も期待できます。
賃貸オフィスを選ぶ際の観点
数多くの賃貸オフィスが存在しますが、契約できればどこでもいいというわけではありません。
自社に最適な賃貸オフィスを選ぶためにも、以下のポイントに着目してみましょう。
関連記事:賃貸オフィス・事務所の選び方と入居までの流れを徹底解説
➀立地
賃貸オフィスを選ぶ際、最も重視したいのが立地です。
都会や田舎に関係なく、多方面からアクセスしやすい駅が近くにあるということは大きなメリットとなります。
駅からの距離が近くなればなるほど、従業員のストレスも軽減されると考えていいでしょう。
場所としては、地域の中でも信頼性の高いエリアや同業種が集まるエリアを選ぶと自社のブランディングにも効果が期待できます。
「あの辺りにオフィスがあるなら安心」など、自然と顧客にプラスのイメージを抱かせることができるのです。
スタートアップ企業でありながらステータスの向上を図りたいなら、まずは立地にこだわりましょう。
③設備
既存の設備があるかどうか、あるいは活用できるかどうかで初期費用が大きく異なります。
スタートアップ企業では、いくら複数の取引先を確保していたとしても起業後すぐに入金があるわけではなく、初期費用をどれだけ抑えられるかはその後の運営に大きく影響する要素です。
せっかく起業するのだから、と設備を一から揃えたいと考える人も少なくないですが、実際は無理をしてその後の資金繰りに苦労するケースが多々あります。
賃貸オフィスを探す前に、まずは起業するにあたってどの程度の設備が必要なのかについて考えておき、予算との兼ね合いを考慮した上で検討しましょう。
④事業・従業員数とオフィス面積
スタートアップ企業では数名で起業するケースが多いため、広い面積は必要ありません。
一般的に、オフィスの面積は従業員1人につき2〜3坪が目安とされており、むしろコンパクトなオフィスの方が維持、活用しやすいということも往々にしてあります。
ただし、大型設備が必要な場合や早い時期の事業拡大を視野に入れている場合は、はじめからある程度広い面積を確保しておくのが理想です。
「手狭になったら引っ越そう」などと軽く考えている人もいると思いますが、賃貸オフィスを選ぶ際は入退去にかかる費用、引っ越し代などさまざまな費用が発生することを念頭に置き、慎重に選びましょう。
⑤日当たり
オフィスで日々気持ちよく仕事をするためには、日当たりのよさも大切なポイントです。
業種によっては日当たりを避けたいというケースもあると思いますが、一般的には暗くジメジメした空間より、日当たりがよく明るい空間で作業をしたいと考えるはずです。
また、外の天気が一切分からない閉鎖空間に比べると、光が入るオープンな空間の方が精神面にいい影響を与えると言われています。
従業員の意欲やモチベーションを向上させたいなら、窓の向きや日当たりを考慮するのがおすすめです。
⑥レイアウト
レイアウトをどれだけカスタムできるかという点にも着目すべきです。
前提として賃貸オフィスでは間取り自体を改変することは難しいため、いかにレイアウトの自由度が高いかという点がポイントとなります。
賃貸オフィスを探し始める前に、従業員の動線を最優先に考えて全員が動きやすいレイアウトをいくつか考案しておきましょう。
もちろんレイアウト通りに自分たちでオフィスを作り上げる楽しみもありますが、もしもレイアウト案に近い既存オフィスが見つかった場合は、そちらを借りるのも1つです。
関連記事:賃貸オフィスのレイアウトの種類を徹底解説
⑦契約内容
条件に合った賃貸オフィスが見つかったら、いざ契約に駒を進めることになりますが、提示された契約内容は隅々まで読み込んでおくことが大前提です。
面倒だからと口頭で提示された条件だけを鵜呑みにして契約してしまい「こんなはずじゃなかった」などと後悔するケースが珍しくないのです。
契約内容を確認した上で、少しでも疑問に感じることがある場合は、必ず契約に同意する前に問題解決をしておきましょう。
そのほかの選択肢の種類【フレキシブルオフィス】
スタートアップ企業でオフィスを構えたいと考えた際、賃貸オフィスの他にもいくつか選択肢があります。
それぞれの違いをよく理解しておくと、実際にオフィスを選ぶ際も安心です。
➀レンタルオフィス
デスクからOA機器、ネット環境まで、すぐに仕事を始められる環境が整えられたオフィスを、1週間など短期間で契約するシステムです。
間借りのようなイメージで、個室の利用料だけを支払う形となるため、初期費用が大幅に抑えられます。
ただし長期利用には不向きで、不特定多数が利用することからセキュリティ面での心配は残ります。
②シェアオフィス
1つのオフィス空間を、複数の企業や個人が利用するシステムです。
フリーアドレス形式が一般的ですが、会議室やミーティングルームも利用できます。
ビジネスに必要な環境が整っているため初期費用が抑えられる上、法人登記ができるというメリットがある一方で、個人の専用スペースがない、セキュリティが甘いという面もあります。
③サービスオフィス
ビジネスに適した空間を短期間から借りられる点はレンタルオフィスと同じですが、利用者は部屋ごとの契約を行い、電話代行や書類作成などさまざまなオプションサービスが受けられるのが特徴です。
来客に対しても、大手企業のようなサービスを提供できるため、ワンランク上のラグジュアリーさを求める方におすすめです。
④コワーキングスペース
オープンスペースの1席で作業をするシステムで、利用時間に応じて料金を支払うドロップインと、定額の月額プランがあります。
1時間300円程度〜と安価で、ドリンクバーなどが設置されていることも多いため、カフェのような感覚で気軽に利用できるのが魅力です。
事業者同士交流しやすいという特徴もあり、ビジネスパートナーを見つけるために足を運ぶ人もいます。
⑤バーチャルオフィス
起業するにあたって必要となる住所や電話番号だけを利用する仮想オフィスのことです。
作業スペースは存在しませんが、住所は法人登記にも使用でき、配達物や電話については指定の場所や番号に転送することが可能です
フレキシブルオフィスを使うメリット
フレキシブルオフィスは、すでにビジネス環境が整っている上、複数の中から自社に最適なプランを選択することができるため、コストを最小限に抑えられるのが大きなメリットです。
また、将来的に本社以外にも拠点を置きたいと考えている企業にとっても、手軽に契約できるフレキシブルオフィスはありがたい存在といえるでしょう。
通勤が必要なければ、各地で優秀な人材を確保することも可能です。
働き方の多様化が進む中、今後フレキシブルオフィスを導入する企業もさらに増えていくでしょう。
信頼を獲得したいスタートアップこそ賃貸オフィスを活用しよう
スタートアップ企業に賃貸オフィスをおすすめする理由や、選び方について解説しました。
ある程度の初期費用やランニングコストはかかりますが、自社オフィスを構えることで、法人登記ができる、高いセキュリティが確保できるなど、企業として大きなメリットが得られます。
立地や設備、オフィスの種類などさまざまな条件の中から自社に合った賃貸オフィスを選び、幸先のいいスタートを切りましょう!