賃貸オフィスの賃料は経費にできる?計上ルールと注意点

個人事業主の賃貸オフィスの家賃は、経費として計上できるため節税効果に繋がります。しかし、オフィスの賃料を経費で計上できる場合の注意点や計算方法が知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、賃貸オフィスの賃料を経費として計上する際のルールや注意点、そして計算方法について説明します。
目次
賃貸オフィスの家賃は経費として計上できる?
基本的に個人事業主の賃貸オフィスの家賃は、経費として計上が可能です。経費として計上することで、課税対象所得が減り節税効果に繋がります。
ただし、家賃を全額経費として計上できるわけではありません。例えば自宅と事務所、店舗の関係、税制の区分(青色申告か白色申告か)に応じて、経費の適用範囲が異なります。
個人事業主が家賃を経費として計上する際のルール
まずは、個人事業主が賃料を経費として計上するルールを以下3つにわけて説明します。
- 自宅と事務所が別の場合
- 自宅と事務所が同じ場合
- バーチャルオフィスの場合
それでは、それぞれのルールについて確認していきましょう。
➀自宅と事務所が別の場合
自宅と別に事務所を契約しており家賃を支払っている場合、基本的に事務所の家賃を経費として全額計上が可能です。ただし、事務所の契約を結んでいる相手が親族の場合では経費として落とせない可能性もあります。
例えば、親族が所有している事務所を借りている場合、その親族と同じ生計を共有しているかどうかが経費として計上できるかのポイントになります。
契約相手が同じ生計を共有している親族の場合、家賃は経費として落とせません。一方で、契約相手が同じ生計を共有していない親族の場合は家賃を経費としての計上が可能です。
②自宅と事務所が同じ場合
賃貸住宅を自宅と事務所を兼用する場合、家賃の一部は経費として落とせることがあります。ただし、経費として計上できるのは家賃の全額ではないことを理解しておきましょう。
経費処理において、家賃は事業用とプライベート用のスペースに分かれます。経費として落とせるのは事業用スペースの部分であるため、勘定科目として「家事関連費」を使用します。なお、事業に関係のないプライベート用スペースの家賃は経費として計上できません。
③バーチャルオフィスの場合
バーチャルオフィスは、住所のみ使用できるサービスです。
物理的なオフィススペースではなく、事業用で利用する場合は経費として落とせます。また、電話の転送や郵便物の受け取り代行などのサービスも利用が可能です。
バーチャルオフィスの家賃やサービスの計上は、次の2つの勘定科目が選択できます。
- 支払手数料
支払手数料は、事業の取引に関連する費用や手数料の勘定科目です。バーチャルオフィスの利用料金は、事業運営に必要なサービスに発生する費用であるため、支払手数料として計上されます。
- 外注費
サービスの料金は、外注費として計上されることもあります。外注費は、事業の一環として外部に業務を委託する際の費用を表す勘定科目です。バーチャルオフィスのサービスは、オフィス業務の一部を外部に委託するという観点から外注費として計上されることがあります。
ただし外注費の場合、支払った消費税も含めて取引として記録されるため、税務調査時に確認される可能性があります。そのため、税務調査時の観点からは、支払手数料を使用する方が合理的な場合もあるでしょう。
賃貸オフィスの家賃を経費として計上する際の注意点
経費の計上額によって納税額が変わるため、経費の計上は適切に行う必要があります。
また、経費として落とせるのはすべての賃料が対象ではありません。そのため、賃料を経費で計上する場合は、適切な方法で計算しましょう。
家賃を経費として計上する際の注意事項
家賃を経費として計上する際の注意事項は以下の3つがあります。
- 自宅と事務所が同じ場合の経費計上に気をつける
- 賃貸契約書の保管しておく
- 青色申告と白色申告の相違点を理解しておく
それでは、それぞれの注意事項について確認していきましょう。
自宅と事務所が同じ場合の経費計上に気をつける
自宅を事務所として利用する場合、家賃は仕事をする上で必要な費用であり、同時に生活に関わる費用といえます。このような場合では、事業用とプライベート用のスペースの割合を求めるために家事按分が行われます。
家事按分が複雑で手間がかかりますが、家賃のすべてを事業経費として計上してはいけません。家事按分をせずに計上すると、税務署から指摘される可能性が高くなります。
賃貸契約書の保管をしておく
賃貸借契約書には、契約条件や細かい取り決めが記載されています。紛失してしまうと、契約条件が分からなくなり、契約の更新やトラブルの発生、退去時などに問題となるケースもあります。
賃貸契約書は賃貸期間中はもちろん、少なくとも退去までは保管しておくようにしましょう。また賃料を経費として計上する場合、会計の資料として保管しておき、必要に応じて提出できるようにしておくと安心です。
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青色申告と白色申告の相違点を理解しておく
確定申告は「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があり、どちらを選択するかによって家賃を経費として計上する考え方が異なります。
青色申告の場合、家賃を経費として計上するためには、事業に必要であることを証明できれば事業用部分の割合に関係なく、家賃を経費にて計上が可能です。
一方で白色申告の場合、家賃を経費として計上するには事業スペースの面積が半分以下であっても明確に区分できている場合では経費にて計上ができます。
つまり、青色申告と白色申告は、事業で使用しているスペースが半分以下であっても、明確に区分できる場合は経費として計上することが可能です。
家賃を経費として計上する際の計算方法
自宅と事務所が別でも同じ場合でも、家賃を事業用と生活用に分けて按分し、経費として計上する際には事業用の部分のみを経費として計上します。
この按分作業では、主に「使用している面積」や「使用時間」などが基準とされ、家賃を事業と生活の使用に応じて適切に分けます。そして、事業用の部分だけが考慮され、経費として計算されます。
家事按分の計算方式は以下の2つの方法があります。
- 面積で按分するケース
自宅全体の面積に対して5割が仕事で使用している場合、経費は「1ヶ月の家賃×50%」の計算方式となります。
- 使用時間で按分するケース
1ヶ月が30日、週に5日で1日8時間を仕事で使用する場合。
24時間×30日=720時間
8時間×20日=160時間
160時間÷720時間×100=約22%
このような按分の計算方法によって「1ヶ月の家賃×22%」の計算方式で求める場合もあります。
節税対策として家賃を経費で計上しましょう
今回は、賃貸オフィスの賃料を経費として計上する際のルールや注意点、そして計算方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
個人事業主の家賃は基本的に経費として計上が可能です。しかし、住宅兼事務所の場合や按分割合を明確にする必要があるため注意してください。
なお、按分が移動となった場合は、移動理由と共に新しい按分割合の理由についても明確に説明できるようにしておきましょう。