オフィス移転にかかる費用はどれくらい?
オフィス移転には、家具や電気機器、インテリアの移動をはじめ、新オフィスの敷金・礼金、旧オフィスの原状回復工事、業者への依頼料など、様々な費用がかかります。
そして移転するための一定の予算を決めておく必要があります。
個人の引越しには相場が存在しますが、オフィス移転の相場感はこれといったものがありません。というのも、オフィスの規模感・社員数・荷物の量によって千差万別だからです。
そこで本記事ではオフィス移転にかかる初期費用、費用の内訳、移転をするときの注意点について詳しくご紹介します。
費用をできるだけ抑える方法についても合わせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
オフィス移転にかかる初期費用
ここではオフィス移転にかかる初期費用について解説します。
かかる費用については、主に下記です。
- 引っ越し費用
- 新しいオフィスの入居時費用
- 旧オフィスの退去時費用
- 敷金や仲介手数料
- その他の諸費用
詳しく見ていきましょう。
引っ越し費用
オフィス移転には、引越しするための費用と引越しにより出た廃棄物の処理費用がかかります。
引越し費用とは、パソコンやプリンターなどの電子機器、デスクやチェアといった家具を運び出し、新オフィスに運ぶための費用です。
廃棄物の処理費用とは、会社で出た廃棄物は一般のごみとして出せないこともあります。そのようなごみは、産業廃棄物として処理されるものです。
引っ越し費用というと荷物の運搬・搬入だけだと思われがちですが、不要なものを捨てる廃棄費用もかかることを覚えておきましょう。
引越し費用は、1人あたり2~3万円程度と考えるのが一般的です。
関連記事:オフィス移転の際に出る産業廃棄物とは?処理方法も紹介
新しいオフィスの入居時費用
新オフィスの入居時には、敷金・礼金といった賃貸借契約費用とは別に、内装工事費用やネットワーク工事や回線工事費用、不動産所得費用などがかかります。
かかる費用 | 内容 |
内装工事 | 新オフィスの床や天井、壁といった仕上げにかかる費用。会議室・応接室などの設備整理。 |
ネットワーク工事 | LANや電気、電話などの回線工事にかかる費用。 |
什器類の購入 | 転用什器や状況に応じて必要な什器類の購入にかかる費用。 |
内装工事は、間取りや空間の作り方にこだわったり、おしゃれにしようとしたりすればするほど費用は膨らみがちです。坪単価10万円程度が、相場感です。
ネットワーク工事についても、サーバーの許容量やセキュリティの重要性によって相場は変わります。1人当たり4~5万円程度かかるのを覚えておきましょう。
旧オフィスの退去時費用
旧オフィスを退去するときには、入居前の状態に戻さなくてはなりません。
元の状態に戻すことを原状回復といいます。原状回復費用は、坪単価2~3万円程度かかるのが一般的です。
坪単価の相場は東京か地方かによっても、ビルのグレードによっても大きく異なります。3万円以上かかるケースもありえるので高めに設定しておくと安心です。
悪質な業者になると必要な原状回復までさせられ、高額請求されることもあります。そのようなことを防ぐためにも、あらかじめ見積もりをとって、不誠実な対応をされないよう対策しましょう。
敷金や仲介手数料
新オフィスの移転時には、敷金や礼金、仲介手数料や火災保険加入費用などがかかります。
上記の費用は契約時に支払う場合が多いです。敷金については退去時に一部戻ってくることもありますが、礼金は返却されません。
仲介手数料は、オーナーではなく管理会社に支払うのが一般的です。相場は1ヶ月分ですが、小規模のオーナーや管理会社であれば2ヶ月分支払わなければならないこともあります。
その他の諸費用
これまでご紹介した費用以外にも、手続きにかかる費用もあります。
オフィスを移転すると法務局や税務署、ハローワークや年金事務所などあらゆる機関に対して変更手続きを行わなければなりません。
個人ですることも可能ですが、難しい場合は行政書士に依頼することもあるでしょう。
行政書士への依頼料は、書類作成費用として10万円程度です。そのほか住所が変わるのでそれに伴う名刺等の印刷費用などもこの費用に含まれます。
関連記事:オフィス移転で発生する手続きとは?注意点とあわせて解説
オフィス移転の初期費用の相場
ここからはオフィス移転の初期費用の相場について解説していきます。
新オフィスお 契約にかかる費用の相場
新オフィスの契約にかかる費用は、安くて新オフィスの賃料の1年分ほどです。
- 敷金:賃料の4~12ヶ月分
- 礼金:賃料の1~2ヶ月分
- 仲介手数料:賃料の1ヶ月分
- 保証会社:賃料の1ヶ月分
- 前家賃:賃料の1ヶ月分
- 内装工事・備品購入費など。
敷金・礼金・前家賃・保証会社・仲介手数料だけで、賃料の1年分はかかります。
それ以外にも新オフィスの内装工事、備品の購入等の金額が上乗せされるのが基本です。
旧オフィスの退去にかかる費用の相場
旧オフィスを退去する際にかかる費用の相場は、以下です。
- 原状回復工事
- 引越し費用:1人あたり4万円程度
- 周知するための費用:1人あたり1万円程度
- 手続きの費用:15万円程度
旧オフィスを移転する際には、得意先や取引先に周知させる必要があります。告知にかかる費用は一人あたり1万円程度を目安にしておきましょう。
また引越し費用は会社の規模感にもよりますが、1人あたり4万円程度です。そのほか手続きにかかる費用は少なくとも10万円、多くて25万円程度かかります。
オフィス移転を検討する際の注意点
ここからはオフィス移転を検討するときの注意点について解説します。
計画的に準備しなくてはならない
オフィス移転をするとなると、スケジュール感や荷造りの詳細についてなど、計画的に準備を進めるべきです。
というのも、オフィス移転にはおよそ1年間の準備が必要とされています。
大規模な会社の移転には数千万円が動くともいわれているので、費用面でもスケジュール面でも無駄は極力減らしたいものです。
計画的に準備を進めていれば、廃棄物をリサイクル業者に依頼できるなど時間も労力も有効活用できます。
新しいオフィスの広さや社員数を把握する
オフィス移転をするときは、新しいオフィスの広さや社員数を確実に把握しておく必要があります。
オフィスの広さや社員数を正確に把握できていれば、移転時にかかる費用のおおよその割り出しが可能です。
もしわからない場合は、事前に専門家に相談するのも手です。
新しいオフィスの運営費用にも注意する
オフィスを移転すると、引越し費用や契約費用以外に、新たに運営費用がかさみます。
例えばセキュリティカードの新規作成、通勤費や定期券の清算し直しなどが一例です。
使えるものはできるだけ再利用(リユース)することでコストを抑えることができますが、新たに作成しなければ運営できないものが一定数あることを理解しておきましょう。
オフィス移転の費用を抑える方法
ここからはオフィス移転の費用を抑える方法についてご紹介します。すぐ実践できることなので移転を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
複数の業者から見積もりを取る
オフィス移転の費用については、複数業者から見積もりをとって比較検討するのがおすすめです。
費用で優先度を決めるのもアリですが、費用だけでは業者の良し悪しを図れない部分もあります。相場よりも若干高めでも口コミがよければ、質の良いサービスを提供してくれます。
そのほか連絡が早い業者は、密にコミュニケーションを取ることができ、移転完了まで安心して作業できます。
工事関連を一社に任せる
オフィス移転の費用を抑えるためには、工事関連を一社に任せるのがポイントです。
工事ごとに別の会社に依頼していては、都度工事諸経費などかかる可能性があります。
一社にすべての工事を任せればワンストップで行えるので、工事ごとにスケジュール調整をする必要もなく、まとめて依頼するので値下げ交渉もしやすいのがメリットです。
工事に関して関わる業者を減らすことで、進捗も把握できるのは嬉しいポイントです。
家具や備品を再利用する
旧オフィスで利用していた家具や備品が、まだ使える状態であれば、新オフィスでも再利用しましょう。
特に高額なソファやキャビネットは、できるだけ使い続けると節約になります。
どうしても買い替えが必要なものに関しては、荷造り前にあらかじめピックアップし、必要な予算をまとめておくと安心です。
ハイブリッドワークによる縮小移転を行う
コロナ渦になり、会社での働き方にも多様性が生まれています。
毎日出社が義務化されている会社であれば社員が全員余裕をもって収容できるような広さが必要ですが、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークになれば、オフィスの縮小も可能です。
出社の頻度を調整することで、オフィスにくる人数を減らせるからです。
オフィスの敷地面積を減らせればおのずと家賃も安くなる傾向にあります。家賃を毎月借りている間中かかるものですから、費用削減するなら働き方を見直してもよいかもしれません。
居ぬきオフィスやセットアップオフィスを活用する
コスト削減を考えるなら、居抜きオフィスやセットアップオフィスを活用するのも手です。
居抜きオフィスとは、以前借りていたオフィスの内装工事をせず、家具等もそのまま利用することを指します。物件によっては、電話回線やネットワーク回線の開通のみで使用を開始できる手軽さがメリットです。
セットアップオフィスとは、あらかじめ家具や内装設備が整った物件を指します。
内装工事を行うオフィスに比べると圧倒的な節約が可能です。急遽オフィス移転をしなければならなくなった場合やとにかく費用を抑えたいというときに有効といえるでしょう。
オフィス移転の初期費用は抑えることができる
今回はオフィス移転の初期費用についてご紹介してきました。
オフィス移転には引越し代がおおよそを占めると思われがちですが、そのほかにも諸々の費用がかかるものです。
しかし費用を抑えるためにできることもたくさんあります。
使えるものはリユースしたり、依頼する業者の選定は相見積もりを取ったあとにしたり、工事関連は1社に任せたり、とやり方はいくらでもあります。
そもそも働き方から見直せばオフィスの在り方も変わります。オフィス移転の初期費用を抑えるために、柔軟な考え方をもって取り組むのがおすすめです。