オフィス移転でやるべきことをチェックリストでまとめて解説!
オフィス移転は、企業の成長と進化の大きな一歩です。しかし、計画から実行に至るまでの過程は複雑であり、細部にわたる注意が必要です。日本橋というビジネスの中心地で新たなオフィスを構えることは、多くのメリットをもたらしますが、その過程で直面するであろう課題を乗り越えるためには、適切な準備が不可欠です。この記事では、「オフィス移転 チェックリスト」を用いて、移転プロセスを段階的に解説し、移転を成功に導くための実践的なアドバイスを提供します。
目次
オフィス移転のメリット・デメリット
オフィスの移転は、企業の文化を活性化し従業員の意欲を高め企業のイメージを向上させるなど、さまざまな利点を提供します。しかし、移転にはコストの増加、業務の一時的な停止、従業員の通勤ルートの変更など、考慮すべき欠点も伴います。これらのプラス面とマイナス面を適切に評価し、移転の決断を下すことが求められます。オフィスの移転は利益をもたらす可能性がありますが、同時に多大な時間とコストがかかるプロジェクトです。失敗を避けるためには、事前に正しい手順と注意すべき点を理解しておく必要があります。
オフィス移転の流れに沿ったチェックリスト
オフィス移転に際しては、輸送業者の選択、目的のビル決定、オフィス用家具の選定と購入、レイアウトの設計、建設や施工のタイムライン管理、さらには移転自体の実施など、多岐にわたるプロセスが伴います。これらの作業を効率よく進めるためには、それぞれのタスクがいつ、どのような順序で必要になるのかを、時系列に沿って前もって把握しておくことが極めて重要です。オフィス移転の成功は、計画性にかかっています。次に示すチェックリストを参照にして、移行の各フェーズで必要なアクションをチェックし、順序立てて行いましょう。
6か月前までにやること
会社の移転計画において、6ヶ月前を期限として優先的に取り組むべき事項について説明します。
①移転目標と方針の明確化
プロジェクトリーダーを指名し、専門チームを組織して、現在のオフィスの問題点を特定します。内部の意見収集や調査を通じて、移転の目的と達成したい成果を定めましょう。移転予定日が6ヶ月以内に迫っている、または担当者が十分な時間や専門知識を有していない場合は、オフィス移転を得意とする外部のコンサルタントを活用することも一つの手です。
②現在のオフィス解約条件のチェック
現在入居中のオフィスの解約条件は、新しいオフィスとの契約や全体のタイムラインに重要な影響を及ぼします。移転に先立ち、賃貸契約書に記載されている以下の点を事前にチェックしておくことが重要です。
- 解約通知期間(通知が必要な最終期限)の確認
- 解約の手続き
- 原状復帰の条件と費用の確認
- 敷金・保証金の返還時期
- その他の特別条項の有無
通常、解約通知期間は「解約希望日の6ヶ月前までに通知する必要がある」とされていますが、契約の詳細によっては異なる場合もあります。契約違反による違約金が発生するリスクもあるため、契約書の内容はしっかりと確認しましょう。
③移転計画のタイムライン作成
オフィス移転は、準備期間として6ヶ月から1年以上を見込むことが一般的です。移転予定日の6ヶ月前には、大枠の移転計画と各段階で必要なタスクリストを作成し、準備作業に取り掛かりましょう。効率的に計画を進めるためには、移転完了後の業務開始日を基点にして逆算し、スケジュールを立てると良いでしょう。
④新オフィスの物件選定
新しいオフィスの条件を洗い出し、適切な物件を探し出しましょう。最初に検討するべき点は、立地や従業員の通勤にかかる時間と費用、そして家賃、共益費、敷金、更新料などの経済的な要素です。また、電力供給の容量、利用可能な通信インフラ、空調設備、セキュリティシステムなどのオフィス設備も重要です。さらに、周辺のレストラン、銀行、医療施設などの利便性も、働く上での快適さに直結するため、確実にチェックする必要があります。
オフィス物件選びでは、候補地を直接訪れての現地確認が不可欠です。現地でチェックすべきポイントは次の通りです。
・オフィス専有部分の状況を視察する
実際に物件を訪れた際は、まずオフィス専有部分の設備の状態を確認します。照明の種類や明るさ、空調設備の種類や稼働時間、温度調節が個室ごとに可能か、またはビル全体で一元管理されているかなどを見ます。
窓からの眺望(昼間と夜間)、窓の方向(西日が当たるか、日照条件など)も、オフィスの配置計画において重要な要素ですので、念入りに確認してください。
・周辺環境を調査する
オフィスの周辺環境が悪いと、従業員の士気に影響を及ぼす可能性があります。契約を結ぶ前に、飲食店、コンビニエンスストア、お弁当屋、郵便局、カーシェアリングサービスなどが徒歩圏内にあるかを確認しましょう。
また、周辺の安全性にも注意が必要です。夜遅くまで働いた後も安心して帰宅できるかどうか、夜間の環境も見ておくことが推奨されます。
・共用部分の設備とメンテナンス状態を検証する
共用部分が適切に維持管理されているかどうかも重要です。とくにエントランスは来客の第一印象を決めるため、良好な状態の物件を選ぶことが大切です。エントランスのデザインが企業のイメージに合っているかも確認しましょう。明るく開放感のあるエントランスは、訪れる人に好印象を与えます。
その他、廃棄物の集積場所、セキュリティシステム、エレベーターやトイレの数、既に入居している企業の種類など、上記のポイント以外にも現地で確認すべき事項は多岐にわたります。
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⑤作業業者の選択
移転に伴う各種作業を委託する業者を選定します。主要な業者は以下の通りです。
- 物件探し・仲介:不動産会社
- 移転先の設計・内装・施工:設計事務所や内装業者
- オフィス設備の配置:オフィス家具やOA機器の販売・リース会社
- 荷物の搬出入:引越し会社
- 入居前の状態への復旧:原状回復専門業者
各業者に個別に依頼すると、調整作業が煩雑になる可能性や、コストが増加するリスク、部分的な最適化に留まる恐れがあります。そのため、移転に関わる全プロセスを外部に委託するか、あるいはオフィス移転に必要な一連の作業をトータルで扱える業者に一括して依頼することも考慮されます。
4か月前までにやること
会社の移転に際して、4ヶ月前を目処に取り組むべき重要な事項の一つが、新しいオフィスのレイアウト計画の策定です。この段階では、業務の効率化、安全性の確保、そして従業員のフィードバックを十分に取り入れることが肝心です。計画を立てるにあたっては、以下のポイントを特に念頭に置いてください。
①レイアウトコンセプトの策定
オフィスのレイアウトを計画する際には、「コンセプトの策定」が基本となります。移転の目的や新しいオフィスで実現したい働き方を踏まえ、理想のオフィス像を具体化するコンセプトを設定しましょう。
②内装計画の進行
レイアウト計画と並行して、内装の計画も進めていきます。内装はオフィスの雰囲気や機能性に大きく影響するため、細部にわたって検討する必要があります。コンセプトに沿ったデザイン、色使い、素材選び、電源の配置など、企業のイメージに合致し、予算内で収めることができるかを検討します。工事の範囲や内容によっては、期間や費用が大きく変動するため、業者による見積もりや工期の確認を念入りに行い、計画的に進めることが重要です。
③オフィス家具・インフラの準備
レイアウトの詳細が決まり次第、オフィス家具やインフラの手配に取り掛かります。具体的なタスクは以下の通りです。
- 必要な家具やOA機器の選定と廃棄物のリストアップ
- 電話やLANなどの通信インフラの手配
- リース契約の見直し
- 複数の見積もりの取得
通信インフラは業務の中核をなすため、事前のテストやトラブル対策を忘れずに行いましょう。
④業者との契約・調整
関連するすべての業者との打ち合わせを進め、契約を締結します。この段階での認識のずれが後の進行に影響を及ぼすことがあるため、業者の担当範囲やスケジュールについては、細心の注意を払って確認することが大切です。
2か月前までにやること
会社移転の2か月前までを目安に対応すべきことを解説します。
①取引先への通知準備
取引先への挨拶や通知のため、リストを作成し、挨拶状の準備を進めましょう。取引先だけでなく、会計事務所や法律事務所などの外部委託先、加入している団体、定期購読の出版物、会員制サービス、消耗品の供給元への通知も忘れずに行いましょう。
②書類・備品の住所更新
現在使用している住所が記載されている書類や備品をリストアップし、移転後に迅速に更新できるよう準備をしておくことが重要です。ウェブサイト、会社の印鑑、契約書、請求書、名刺、社員証、伝票、封筒など、変更が必要な項目を確認しておきましょう。
③社内の情報共有と移転準備
移転作業がスムーズに進むよう、社内にしっかりと情報を共有し、業務への影響を最小化するための準備を行います。移転の目的、新オフィスの配置計画、荷造りの責任分担、移転当日の顧客対応、問い合わせ先、当日のスケジュールなどを社内マニュアルに記載し、配布するとともに、社内での説明会を開催して理解を深めましょう。
④最終検査
移転前には、施工が図面通りに行われているか、家具やOA機器が要望通りに配置されているかなど、最終的なチェックを行います。これは、入居前に問題がないかを確認するための重要なステップです。
1か月前~当日までにやること
会社移転当日〜1か月以内を目安に対応すべきことを解説します。
①移転日の作業監督と確認
移転当日は、荷物の搬出入に伴うトラブルを避けるために、旧オフィスと新オフィスでの監督が必要になります。また、引越し前に既存の損傷がないかを写真に撮って記録しておくことが大切です。全ての荷物が遺失なく到着し、損傷がないかもしっかりとチェックしましょう。
②原状復帰作業の完了と物件の引渡し
引越し作業が終わった後は、原状復帰のための工事に取り掛かります。撤去や修復を行い、契約解除日までに物件を引き渡す準備をします。工事の標準期間は約1ヶ月ですが、工事が計画通りに進行しているかを確認するため、業者には定期的な進捗報告を依頼しておきましょう。
③金融機関情報の更新
銀行口座や法人用クレジットカードの住所変更は、早めに手続きを行いましょう。銀行口座は窓口またはオンラインで変更可能です。クレジットカードの場合は、オンラインで必要書類を取り寄せて手続きを進めます。手続きの流れや必要な書類は金融機関やカード会社によって異なるため、移転前に確認しておくことが重要です。
④関連機関への届出手続き
企業の移転に伴い、以下の機関への届出が必要になります。
- 法務局(登記所)
- 税務署
- 社会保険事務所
- 労働基準監督署
- 公共職業安定所(ハローワーク)
- 郵便局
- 消防署
これらの届出には期限が設けられている場合が多いので、期日を守り、適切に手続きを行うことが大切です。事前に各機関の要件を確認し、計画的に進めましょう。
オフィス移転の際に必要な手続き
オフィス移転には、綿密な準備と一連の手続きが伴います。
まずは移転計画を策定し、関連する全ての人々にその旨を伝えます。続いて、新旧オフィス間の契約更新、必要なサービスの移行手続き、そして法的な住所変更を実施します。社内では、従業員への情報提供とITインフラの移設が重要なポイントです。物理的な移動にあたっては、信頼性の高い引越し業者を選び、機器や家具の運搬を任せます。移転完了後は、全ての設備が正常に機能するかをチェックし、住所変更が適切に行われたかを再度確認します。
そして、新しいオフィスの移転を正式に発表し、受け取ったフィードバックに基づいて必要な調整を行います。これらのプロセスを丁寧に実行することで、オフィス移転を円滑に進めることができます。
移転に際しては、多くの届出が必要になるため、各種書類の提出先や期限については、関連機関に直接確認することが肝心です。これらの情報を手引きにして、計画に沿って手続きを進めることが推奨されます。
オフィス移転費用の内訳
オフィス移転にかかる費用の内訳は、大きく分けて次の5つです。
- 移転前のオフィスの原状回復費用
- 移転先のオフィスの契約費用
- 移転先のオフィスの工事・設備費用
- 移転先のオフィスへの引越し費用
- オフィス移転の諸手続きの経費
オフィス移転は、初期の賃貸契約料から内装、新設備投資に至るまで、多様な経費がかかる複雑な作業です。引越し代、不要備品の処分、新備品の購入費用も計上しなければなりません。通信設備の更新や従業員トレーニングにも予算が必要です。これらを総合的に計画し、コストを管理することが重要で、移転費用は数百万円から数千万円と大きく変動する可能性があります。とくに、精密機器の移動には追加費用がかかることもあります。
オフィス移転のコストを抑えるためのポイント
経費を節約しながらも効果的なオフィスの移転を達成するための重要なヒントをお伝えします。
オフィス移転は一社にまとめて依頼する
複数の業者に分散させるよりも、移転に関わる全ての作業を一つの会社に一括して委託することで、コストの削減と管理作業の簡素化が期待できます。
コストを抑えるためには、引越しや内装工事を含む全てのサービスを提供する一社に全てを任せることを推奨します。各段階を異なる業者に依頼する場合、それぞれの初期費用が発生するリスクがあり、また、打ち合わせや工程の調整にも多大な時間と労力が必要になります。
オフィス移転をトータルでサポートする企業に一任することで、これらの問題点を克服できます。
スペースを縮小して家賃を削減する
リモートワークの定着により、オフィスの広さを見直すことで家賃を減らすことが、経済的に意識の高い企業にとって魅力的な選択肢となっています。オフィスのスペースを最適化し、必要な範囲に限定することで、家賃費用の削減を実現できます。この動きは、オフィスへの定常的な出勤が減少している現在の労働環境において、とくに重要性を増しています。スペースの再編には、変動に富んだワークスペースや共用エリアの効果的な利用が求められ、これにより新たな働き方が促進されます。
家賃の削減は、直接的な費用削減に留まらず、企業が環境への意識や効率的な経営を重視していることを示すことができ、これが結果としてブランド価値の向上に貢献する可能性があります。
アクセスがよい駅を選んで通勤費を削減する
適切な交通アクセスを備えたオフィスの選定は、従業員の通勤コストを軽減し、企業の経費削減に大きく貢献します。駅近のオフィスは、通勤の便利さを大幅に向上させ、従業員が多様な交通オプションを駆使して迅速に出勤できるようになります。これにより、時間と費用の節約が可能となります。
とくに、複数の交通路線が集まる主要駅の近辺では、従業員は自宅から直接的なルートを選択でき、通勤ルートを最適化できます。この戦略的な立地選択は、従業員の満足度向上に寄与すると同時に、企業の交通費負担を減らし、コスト削減に繋がります。
さらに、通勤のしやすさは、求職者にとっても魅力的なポイントであり、企業が優れた才能を引き寄せる上での重要な要素となります。従って、アクセスの良い立地は、企業にとって経済的な利益だけでなく、人材獲得という面でも大きな価値を提供します。
オンラインストレージを利用してデータ管理費用を削減する
デジタル化の波に乗り、物理的なファイルの保管を避けることで、企業はスペースを節約し、データ管理のコストを大幅に削減することができます。クラウドストレージサービスを利用することで、企業は高価な物理的ストレージソリューションやサーバーの維持・更新にかかる費用を抑えることが可能になります。オンラインでのデータのバックアップや共有は、ハードウェアの購入やその後のメンテナンスコストを不要にし、リモートアクセスの容易さにより、場所を選ばずにデータにアクセスできる利便性を提供します。この柔軟性は、オフィス外でも作業を続けることができるため、従業員の生産性を高める一助となります。
また、クラウドストレージはセキュリティの面でも信頼性が高く、企業データを守るための強固な暗号化技術とセキュリティ対策を提供します。オンラインストレージの導入により、物理的なインフラストラクチャへの依存を減らし、経済的かつ安全、かつ柔軟なデータ管理体制を構築することができます。
オフィス移転を成功させるための秘訣
オフィス移転をスムーズに行うためのいくつかの有効なアドバイスを提供します。
移転の目的を明確にする
オフィス移転の成功には、その目的と目標をはっきりさせ、それを社員全員と共有することが不可欠です。移転は企業にとって大規模な取り組みであり、コストや時間がかかるため、その意図を明確にすることで、社員の理解と協力を得やすくなります。物件選びやレイアウトの計画に進む前に、現在直面している問題点を洗い出し、移転を通じて達成したい新しい働き方を含め、目的をしっかりと定めることが重要です。
解約予告は余裕をもって行う
オフィスの退去通知は、計画的かつ余裕を持って行う必要があります。契約書に定められた期限内での通知は基本ですが、予期しない遅れや障害に備えて、さらに余裕を持ったスケジュールで進めるべきです。
契約によっては、希望する退去日の数ヶ月前に通知する必要があることが一般的です。タイムリーに解約意志を伝えることで、不必要な違約金を回避し、移転に伴うその他のプロセスもスムーズに実施できます。適切な解約予告は、移転作業の全体的な流れを円滑にし、余分な費用やストレスを抑える上で重要な役割を果たします。
使用頻度の低い備品から荷造りする
オフィスの移転作業を始める際には、まず日々の業務に不可欠でない物品から梱包を開始することが賢明です。頻繁に使用しない文書や装飾品、オフシーズンのアイテムなどを先に箱詰めすることにより、日常の作業を継続しながらも、移転準備を着実に進めることができます。このように段階を踏んで荷造りを進めることで、移転期日直前の急ピッチな作業を避け、計画に沿って余裕を持って移転を完了させることが可能です。
荷造りは移転プロセスの中でとくに時間を要する作業ですから、早めに計画を立て、実行に移すことが全体の効率化に繋がります。
補助金や優遇措置を活用する
オフィスの移転を計画する際、地方自治体や国の提供する補助金や税制の特典を駆使することで、経済的な負担を大幅に軽減できます。地域振興や業界支援を目的としたこれらのインセンティブは、移転にかかるコストを削減し、企業の財政に直接的な恩恵をもたらします。補助金を申請する際には、特定の条件を満たし、期限内に適切な手続きを完了させる必要があるため、計画の早い段階で必要な情報を集め、申請方法を把握しておくことが不可欠です。
また、税制上の特典を受けるためには、移転先の選定や施設の改修が一定の基準に適合している必要があります。これらの補助や特典を上手く活用することで、オフィス移転を経済的にも戦略的にも有益なものに変えることができるのです。
チェックリストを活用してスムーズなオフィス移転を実現
オフィスの移転は、あなたのビジネスにとって新しい章の始まりを意味します。この「オフィス移転チェックリスト」を駆使して、計画に沿ったスムーズな移転を実行しましょう。日本橋での新しいオフィスでの活動が、あなたの企業の成長と進歩の基盤となることを心より願っています。何かご質問や不明点があれば、「日本橋オフィスマン」までお気軽にお問い合わせください。迅速に支援いたします。