賃貸オフィス・事務所の選び方と入居までの流れを徹底解説
オフィスのブランディングを高め、自由に内装をカスタマイズできる「賃貸オフィス」。事業の拡大にともない、新たなオフィスをお探しの経営者の方も多いのではないでしょうか。
近年、シェアオフィスやコワーキングスペースなどの共有型オフィスが拡大しているものの、賃貸オフィスの人気はまだまだ根強いです。
本記事では、賃貸オフィスをお探しの経営者様に向けて、賃貸オフィス(事務所)の選び方や入居までの流れを解説します。
理想の賃貸オフィスを見つけるためにも、ぜひ本記事をご参考にして物件選びにお役立てください。
目次
賃貸オフィス(事務所物件とは)
賃貸オフィスとは、建物内のテナントを借りて自社スペースとして利用する貸事務所のことです。
入居にあたっては、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用を納め、家賃を貸主へ支払う必要があります。家具やオフィス設備など何もない状態なので、オフィスとして利用するためには内装工事やインターネット設備工事、必要に応じて会議室や応接室などの個室をレイアウトも行います。
自社オフィスを構えることは、取引先との信頼関係の構築にも繋がり、企業としての信用度を高めます。銀行からの融資も受けやすくなるので、営業活動の幅も広がります。
また、シェアオフィスと違って内装を自分好みにカスタマイズできるので、自社好みのオフィスづくりが行えます。オフィス環境が快適になれば、従業員のモチベーションも高まり質の高い仕事を行えるでしょう。
関連記事:【スタートアップ企業向け】賃貸オフィスがおすすめの理由
賃貸オフィスを借りるメリット
新型コロナウイルス感染症の影響で、全国的にリモートワークを推奨する流れが広がっています。そのため、自社オフィスを持つ必要性について疑問視している方も多いでしょう。
しかし、賃貸オフィスには自社専用スペースを確保できるからこそのメリットがたくさんあります。
ここでは、賃貸オフィスを借りるメリットについてご紹介します。
➀顧客からの信用を得られる
自社オフィスを設けるメリットに、顧客からの信用を得られることが挙げられます。
事務所があるということは、不動産会社の審査を通過し社会的信用があると認められていることです。オフィスを借りられるだけの資本金を持っているというアピールにもなり、事業が安定している証明にもなるでしょう。
企業としての信頼性を高められることからも、銀行からの融資を受けやすいメリットがあります。融資を受けやすくなることで、新事業の立ち上げや新しい商品開発、サービスの拡大にも有利に働くでしょう。
②来客対応をプライベートなスペースで行える
賃貸オフィスであれば、応接室や会議室を設けられるので来客の対応も可能です。
しかし、コワーキングスペースやシェアオフィスの場合は来客応対するための部屋がないため、商談や打ち合わせの度に個室を探す手間がかかってしまいます。
こうしたことが続くと、顧客からマイナスなイメージを持たれてしまう可能性があります。
共有スペースとして応接室をレンタルできるシェアオフィスもありますが、基本的に先着順なので部屋を確約できるわけではありません。
一方で、自社オフィスを持っていると落ち着いて打ち合わせが行えます。顧客からの印象もプラスに働くでしょう。
③内装をカスタマイズできる
内装を自由にカスタマイズできるメリットも、賃貸オフィスならではです。
賃貸借契約の内容にもよりますが、制限内であれば内装やレイアウトを自由にカスタマイズできます。
業務を効率的に行うためのOA機器の設置など働きやすい環境つくりを整えられるので、従業員のモチベーションアップにも繋がるでしょう。
企業のカラーに合わせた内装にこだわることは、自社のブランディングを高め、来客に自社イメージを強く伝えられるメリットもあります。
関連記事:賃貸オフィスのレイアウトの種類を徹底解説
賃貸オフィスの家賃相場
賃貸オフィスの家賃相場は、エリアや広さによっても大きく異なります。
東京都内は日本のオフィスの中心地のため、全国平均でも賃料はトップレベルです。
オフィス地として人気の高い「目黒区」の賃貸オフィスの家賃相場を調査しました。
エリア | 30~50坪 | 50~100坪 | 100坪~ | |
中目黒 | 20,700円 | 19,900円 | 20,000円 | |
目黒 | – | 15,000円 | 23,100円 | |
自由が丘・祐天寺 | 24,400円 | – | – |
オフィスの広さは、一人あたり平均3坪程度が一つの目安です。
そのため30人規模の企業は、30坪の広さの賃貸オフィスを選ぶとよいでしょう。しかし、会議室や役員室などのスペースを設ける場合は、もう少しゆとりのあるオフィスを選ぶことをおすすめします。
賃貸オフィスを選ぶ際の基準・ポイント
賃貸オフィスのメリットを理解したところで、次に気になるのはオフィス選びで重視すべきポイントですよね。
ここでは、賃貸オフィスを選ぶ際の基準やポイントを解説します。
➀立地
オフィスを探す場合、まずは「立地」選びから始めましょう。
立地はアクセスの良さを気にすることも大切ですが、事業内容や自社のワークスタイルに適したエリアを軸にするとよいでしょう。
例えば、次の選択基準を重視してみてはいかがでしょうか。
- 自社ブランディングの方向性
- 交通アクセスの良さ
- 同業他社が集まるエリア
- エリアごとの賃料
オフィス探しは、立地条件を絞ることから始まります。どのエリアにオフィスを構えるかが決まれば、希望条件に合ったオフィスが見つかりやすいです。
②予算
オフィスを借りる上で発生するのが、初期費用そして月々の家賃です。
初期費用には、以下の内容が含まれます。
- 敷金
- 礼金
- 保証金
- 仲介手数料
- 火災保険料
- 前家賃
また、上記費用に加えて内装工事やインターネット回線の設備工事にかかる費用も必要になるので、予算は多めに考えておくと安心です。
無理のない範囲で借りられる予算を組みましょう。
③広さ
会社の規模に合った広さが確保されているかも重要です。
現在の従業員の人数に加えて今後増員する予定がある場合は、その人数を考慮した広さが必要になります。
従業員一人当たりに必要な広さは、およそ3坪と言われています。さらに会議室や応接室、ランチルームなどを設ける場合は、それなりに広さに余裕のあるオフィスを探さなければなりません。
④設備
入居するオフィス内の設備はもちろん、建物全体の環境も重要なポイントです。
従業員が多い会社の場合は、エレベーターやトイレの数、駐車場の有無などを確認しましょう。人数に対して設備が少なかったり整備されていなかったりすると、従業員の満足度は下がってしまいます。
せっかく新しいオフィスへ移転したにもかかわらず、「前のオフィスの方がよかった」と思われるのは避けたいですよね。
そのほかにも、電話やインターネット回線にも注意しましょう。
都心部やビジネス街であれば問題ありませんが、中心地から離れたエリアに位置する場合は、電波の入りが悪い可能性もあります。
ネットが繋がりにくく業務が頻繁に中断してしまうと、作業効率はかなり下がってしまいます。毎日のようにサーバーが落ちてしまうと、仕事が進まず、従業員のストレスも相当です。
仕事に集中できる環境をつくるためには、設備面を重視したオフィス選びを行いましょう。
⑤レイアウト改変の自由度
レイアウト改変をどこまで自由に行えるかどうかも、オフィス選びのポイントです。
賃貸オフィスは、レイアウトを自社好みに変更できるメリットがあります。しかし、仕様変更の制限はどこのオフィスでも必ず設けられています。
レイアウト改変はあくまで、契約内容の制限内となるので注意しましょう。
契約時にどの範囲までレイアウト改変を行ってもよいか、貸主に確認しておくと安心です。
賃貸オフィスを借りるまでの流れ
賃貸オフィスを借りるまでの一般的な流れを解説します。
- 移転時期を確定する
- 物件を探す(インターネット・不動産屋)
- 内覧
- 申し込み・審査
- 契約・入居
賃貸オフィスの契約や引っ越しが初めてという場合は、入居までの流れを把握しておくと安心でしょう。
➀移転時期を確定する
まずは、移転時期を決めましょう。
賃貸住宅でも引っ越しの繁忙期があるように、賃貸オフィスにも移転が集中する時期があります。
おすすめは、引っ越し業界の閑散期である6月〜8月、大型休暇を利用して移転できる5月あるいは9月です。
引っ越し費用をなるべく抑えたいなら、やはり閑散期である6月〜8月がおすすめです。移転する会社も比較的少ないので、落ち着いて物件探しも行えるでしょう。
とは言え、移転しやすい時期は会社によってさまざまなので、あらかじめスケジュールを立て計画を立てましょう。
②物件を探す(インターネット・不動産屋)
移転時期を決めたら、物件探しを始めましょう。
希望のエリアや、広さ、設備などを基準に、不動産サイトから条件に合ったオフィスを探します。希望の条件が多いとなかなか見つからないので、条件のなかでも優先順位を決めて絞り込むとよいでしょう。
インターネット上には数多くの物件情報が掲載されていますが、それでも希望に沿った物件がないという場合は、実際に不動産屋へ向かい直接紹介してもらうのも手です。
エリアに特化した地域密着型の不動産屋なら、とっておきの優良物件を紹介してもらえるかもしれません。
③内覧
オフィス選びで最も重要な工程が、内覧です。
いくつかの候補地へ実際に足を運び、建物の設備環境やオフィスの広さなどを確認します。
内覧では、フロア面積や天井の高さなど細かく確認しておくと安心です。オフィス内を計測して家具やOA機器設置のシミュレーションをしておくと、いざ移転した際にオフィス機器を置くスペースがないなんて失敗もありません。
内覧時には必要な情報をメモできるように、オフィスの間取り図や筆記用具、カメラ、メジャーなどを用意していくとよいでしょう。
④申し込み・審査
内覧で物件が気に入れば、入居申し込みを行います。
入居するためには、審査を通過する必要があります。申し込み書類は不動産会社によって異なるので、指示に従い不足のないように提出します。
期限内に提出できるよう、早めの準備を心がけましょう。
⑤契約・入居
入居審査を通過したら、貸主と賃貸借契約を結びます。
賃貸借契約とは、物件の使用許可を受ける代わりに相手方に賃料を支払うという約束をすることです。
民法や借地借家法、消費者契約法に関連し、どちらかが違法行為を行った場合は契約内容に則り、罰則を受けます。
契約内容をしっかり確認して理解したうえで、契約を結びましょう。
申し込み時の必要書類【賃貸オフィス】
賃貸オフィスの申し込み時には、以下の書類を揃える必要があります。
- 入居申込書
- 決算報告書
- 登記簿謄本
- 事業計画書
- 会社の印鑑証明書
- 会社案内、カタログ
貸主側はオフィスの信用度を図るために、上記の情報をもとに入居の可否を審査します。
指定された書類に不足のないよう、期限内に提出しましょう。
個人事業主やフリーランスの方など新規事業を立ち上げる場合は、個人名義での身分証明書を求められることが多いです。
賃貸オフィス選びで失敗しないために
自社に合った最適なオフィス選びをするためにも、賃貸オフィスで失敗しない注意事項をまとめました。
➀入居時期を慎重に吟味する
オフィスを借りるには、膨大な初期費用と手間がかかります。
なるべく負担を抑えるためにも、入居する時期は慎重に選ばなければなりません。
オフィス移転に不向きな時期は、ずばり「12月」「3月」「4月」です。
12月は月末に年末年始が挟むこともあり、業務が通常時よりも忙しくなる傾向にあります。通常業務に加えて引っ越し作業が伴うとなると従業員への負担は大きくなってしまうので、なるべく避けたいです。
また、3月、4月は就職や入学、異動が重なる引っ越しシーズンです。
引っ越し業者は軒並み忙しくなるので、見積もりはほかの時期に比べて1.5倍程度にまでアップする可能性があります。コストをかけないためにも、3月、4月は避けましょう。
②ビルの既存テナントをチェックする
内覧ではオフィス内の設備や周辺環境を確認することも大事ですが、ほかにどのようなオフィスが入居しているかも合わせてチェックしましょう。
今後、ご近所のオフィス同士、付き合いを続けていくことを考えると確認しておいたほうが安心です。
エレベーターや廊下ですれ違ったときの印象に違和感を覚えた場合は、一度不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
③信頼できる不動産業者に任せる
なによりも信頼できる不動産会社に物件を紹介してもらうと安心です。
とくに賃貸オフィスの紹介実績が豊富だと、さまざまな業種に適したテナントビル情報を保持している可能性が高いです。物件探しのノウハウも熟知しているので相談しやすく、的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
信頼できる不動産会社かどうかは、以下3つのポイントをチェックしましょう。
- 条件に合った物件を紹介してくれる
- 営業担当の連絡が早く、丁寧
- 口コミが良い
ぜひ、参考にしてみてください。
まとめ
今回は、賃貸オフィスを検討している経営者様に向けてオフィスを借りるメリットや選ぶ際のポイント、入居までの流れについて解説しました。
オフィス探しに失敗しないためには、オフィスに求める条件を整え優先順位を決めることから始めましょう。オフィス環境が快適になれば、従業員のモチベーションは高まり、業務の効率化にも繋がります。