近年注目を集める居抜きオフィスって?そのメリットと注意点を徹底解説
通常、賃貸物件から退去する際は入居する前の状態に戻すのが一般的ですが、最近は前入居者が使っていた状態を引き継いで契約する「居抜きオフィス」が注目を集めています。
そこで本記事では、居抜きオフィスとセットアップオフィスの違い、居抜きオフィスのメリット、契約する際に気を付けたいポイントなどについてまとめました。
賃貸オフィスをご検討中の方は、ぜひ参考になさってくださいね。
目次
居抜きオフィスとは
前契約者が使っていたオフィスを元の状態に戻す、つまり原状回復することなく、そのまま自社オフィスとして使用することを「居抜きオフィス」と呼んでいます。
空間の間取りはもちろん、内装や照明器具、家具まで基本的には全て譲り受ける形となります。
「せっかく新たにオフィスを構えるのに」と感じる方もいると思いますが、とくに50坪前後のオフィスの場合は、工夫しても最終的に同じようなレイアウトになりがちです。
そう考えると、初期費用を大幅に抑えられる居抜きオフィスも選択肢の1つに入れるのが得策と言えるでしょう。
セットアップオフィスとの違い
居抜きオフィスと混同されやすいのが「セットアップオフィス」です。
入居時すでにレイアウトや家具が用意されているのは同じですが、居抜きオフィスは「前入居者」が使用していた状態を引き継ぐのに対し、セットアップオフィスは「貸主(オーナー)」が内装工事を行った状態で入居者を募集することを指します。
初期費用を抑えながらデザイナーが設計した最新オフィスに入居できるのはメリットですが、居抜きオフィスと比べると賃料が高くなる傾向があります。
居抜きオフィスが人気の理由
居抜きオフィスは、初期費用を抑えてすぐにオフィスとして稼働を開始できることが人気の理由です。
とくに近年急激に増えているスタートアップやベンチャー企業は成長が早く、事業規模に合わせて移転を繰り返すケースも多いため、なるべく費用をかけず、スムーズに事業を継続できる居抜きオフィスが注目されているのです。
また、長引くコロナ禍でリモートワークが定着し、オフィスの移転や縮小をする中小企業が急増していることも居抜きオフィスが注目されている理由と言えるでしょう。
居抜きオフィスを利用するメリット
居抜きオフィスが人気を集める理由についてお伝えしました。
さらにこちらでは、居抜きオフィスを選ぶメリットについてご紹介します。
メリット①費用が抑えられる
居抜きオフィスを選ぶ最も大きなメリットが、費用を大幅に抑えられることです。
何もないところからオフィスを構築するとなると、レイアウトや内装工事、家具の購入、インターネット回線の工事などさまざまな費用が発生し、一般的に坪単価10〜30万円はかかると言われています。
しかし居抜きオフィスであれば、足りない部分を補う形で最小限の工事のみとなるため、初期費用を抑えてオフィスを構えることが可能です。
オフィスの規模によっては、居抜きオフィスを選ぶことで数百万から一千万円単位のコストカットにつながるでしょう。
メリット②移転の期間が短い
居抜きオフィスは入居時の工事を最小限に抑えることでコストカットできるとお伝えしましたが、同時に工期も短縮されるため入居までの期間が短くなるというのも特徴です。
一から内装工事を行う場合、打ち合わせから修正、見積もり作成、契約と順調に進んだとしても、実際に着工して工事が完了するまでに4〜5ヶ月かかるのが一般的です。
万が一、工事の途中でトラブルが発生した場合はさらに工期が延びてしまい、事業開始や業務再開に支障をきたす可能性が出てきます。
一方で居抜きオフィスの場合、業種によっては契約後すぐにオフィスとして稼働でき、部分的に修繕や買い替えが必要になったとしても、数週間あればオフィス環境が整います。
すぐにでもオフィスとして稼働させたいという方にとっては、非常に効率のいい選択と言えるでしょう。
メリット③デザイナーズオフィスも利用できる
先にご紹介した通り、居抜きオフィスはスタートアップやベンチャー企業が積極的に使用することもあり、こだわりの詰まったデザイナーズオフィスという選択肢も豊富にあります。
オシャレで高機能なオフィスは、起業ブランディングに役立つだけでなく、そこで働くスタッフのモチベーションも高めてくれるため、働き方改革を考えている会社にもおすすめです。
居抜きオフィスを利用する際の注意点
居抜きオフィスにはメリットが多くあります。
一方で、選ぶ際に気を付けたいポイントがいくつかあるため、詳しくご紹介します。
①内部の状況を確認する
居抜きオフィスを探す際は、必ず内部の状態を自分の目で確かめておくことが大切です。
一見よさそうに見える物件も、築年数が古かったり、それまでに複数社が使用していたりすると、内装や設備に不備があるケースは多くあります。
契約後に不備が発覚した場合は、自社で修理や処分をしなければならないため余分なコストがかかってしまいます。
また長期契約を考えている場合は、途中で修繕費用が発生する可能性も大いにあるため、それらを考慮した上で検討しましょう。
②レイアウトがあっているかを確認する
業務内容や事業規模によっては、前入居者が使っていたレイアウトが自社の希望と合わないことがあります。
居抜きオフィスは費用を抑えられるのが大きなメリットではありますが、そのために使いにくいオフィスを選んでしまうと本末転倒です。
内覧の時は好印象でも、実際に稼働してみると使い勝手が悪く再工事が必要になるといったケースもあるため、とくに居抜きオフィスの場合は、条件に合う物件が見つかるまで時間をかけて検討することが重要です。
関連記事:賃貸オフィスのレイアウトの種類を徹底解説
③退去時の原状回復を確認する
居抜きオフィスとして前入居者の使用状態を引き継いだ場合であっても、基本的に退去する際は原状回復する必要があります。
オフィスの状態がよく、次の入居者がすぐに見つかる可能性が高い場合、原状回復せず退去できるケースもありますが、これはあくまでも貸主から依頼があった場合のみ有効な手段です。
また、当然のことながら前入居者が使用していた期間も含めた損耗が原状回復の対象となり、坪単価5〜10万円が相場とされています。
居抜きオフィスを探す際は、退去時にかかる費用も含めて考えましょう。
希望条件に合う物件を選ぶことが事業成功のカギ
居抜きオフィスのメリットや、契約時の注意点などについて解説しました。
居抜きオフィスは初期費用を大幅に抑えられ、移転後すぐに業務を開始できるのが大きなメリットです。
しかし一方で、契約後に不備が見つかったり、退去時に多額の費用がかかったりするトラブルも発生しています。
居抜きオフィスを選ぶ際は決して妥協せず、時間がかかったとしても希望条件に合った物件を探すことが大切です。