分譲マンションで賃貸運営はできる?必要な費用まで分かりやすく解説
マンションには、オーナーが所有するマンションの1住戸を購入する「分譲マンション」と、オーナーと賃貸契約を結んで1住戸を借りる「賃貸マンション」の2種類があります。
分譲マンションの場合は購入者に所有権が移るため、条件が揃えば「分譲賃貸マンション」として第三者に貸し出すことが可能です。
本記事では、分譲賃貸マンションのメリットとデメリット、分譲マンションを賃貸として貸し出す際の運営費用などについて解説します。
目次
居住用のマンションを賃貸用にできる?
結論から言うと、住居用に購入したマンションは、賃貸物件として第三者に貸し出すことが可能です。
ただし、基本的に住宅ローンが残っている場合は賃貸物件にすることはできません。
購入時に組んだ住宅ローンは、原則として自らが居住する住宅に対してなされる融資のため、ローンの返済途中で賃貸物件にしてしまうと、契約違反とみなされてしまうのです。
賃貸運営を始める時点で住宅ローンを完済している状態が最も理想的ですが、どうしても難しい場合は金融機関に相談することになります。
一部の金融機関では、一時的な転勤などであれば住宅ローンの返済途中でも賃貸運営が許可されることがありますが、その場合も基本的に投資用ローンへの借り換えが必要になると考えておくといいでしょう。
一般的に、住宅ローンの金利が年利0.5〜2.0%程度なのに対し、投資用ローンは年利1.5〜4.5%と非常に高くなります。
また、住宅ローンは個人の属性や信用度が重視されますが、投資用ローンは物件の収益性や価値も審査対象となります。
厳しい審査基準をクリアしなければ投資用ローンへの借り換えができないため、結果的に所有しているマンションで賃貸運営はできないということになります。
このように、所有するマンションを賃貸物件として貸し出すには、いくつか条件が揃わなければ難しいということを理解しておきましょう。
マンションを賃貸として出す場合のメリット
分譲マンションには、一般的な賃貸マンションにないメリットが多くあります。
借り手にとってどのような魅力があるのか、詳しくご紹介します。
メリット①賃貸のマンションと比べてグレードが高い
1つ目のメリットとして、分譲マンションは、一般的な賃貸マンションに比べてハイグレードであることが挙げられます。
そもそも賃貸マンションは、不動産投資を目的に建てられていることがほとんどです。
つまり、投資家としてできる限り利益率を上げるために、最低限の設備しか備えてないケースも珍しくありません。
一方、分譲マンションは戸建て住宅と同様に、一生の住まいとして購入することを前提に建てられています。
そのため、モデルルームにあるような豪華な内装やグレードの高い設備が備わっているのです。
また、ロビーやラウンジなど共用施設も充実しており、より快適な暮らしができるでしょう。
メリット②耐震性や耐火性などの構造が安定している
先にもお伝えした通り、分譲マンションは一生の住まいとして購入するものです。
そのため、耐震性や耐火性、その他さまざまな条件を兼ね備えていなければ選んでもらえないというリスクがあり、全体的に頑丈な造りとなっています。
建物自体の構造も「RC構造(鉄筋コンクリート)」や「SRC構造(鉄骨鉄筋コンクリート)」を採用していることが多く、地震や火事に耐えられるだけでなく、防音性や気密性にも優れ、外からの影響を受けにくくなっています。
メリット③管理人が常駐しているところが多い
敷地内に管理人が常駐していることが多いというのも分譲マンションの特徴です。
管理人がエントランスやロビー、廊下など共用部分の掃除やメンテナンスを行ってくれるため、いつも気持ちよく過ごすことができます。
また、不在時は代わりに宅配便を受け取ってもらえたり、住民同士のトラブルの仲介をしてくれたりと頼りになる存在です。
管理人が常駐していることで不審者が侵入しにくくなるため、セキュリティ面でも安心して生活することができるでしょう。
マンションを賃貸として出す場合のデメリット
借り手にとってメリットの多い分譲賃貸マンションですが、事前に理解しておくべきデメリットもあります。
デメリット①家賃が高い
分譲賃貸マンションは、通常の賃貸マンションに比べて家賃が高くなる傾向があります。
先にお伝えした通り、分譲マンションはモデルルーム並みの内装や設備を備えています。
また、構造上耐震性や耐火性に優れていたり、管理人が常駐していたりと安全・快適に暮らすための条件が揃っているため、毎月の家賃が高くなるのです。
同等の立地や条件の賃貸マンションに比べると、数万円上乗せになると考えておきましょう。
デメリット②マンションの規約がある
分譲賃貸マンションを借りる場合、家主との取り決めだけでなく、元々のマンションの規約に従わなければならない点にも要注意です。
例えば、ペット飼育可能の物件であっても、家主が拒否した場合はペットを飼うことはできません。
このように双方との規約を守る必要があり、後になって「知らなかった」では済まされないため、トラ
ブルを避けるためにも事前に規約内容をしっかりと把握しておくことが大切です。
デメリット③賃貸借契約が期間限定になるかもしれない
毎月の家賃を払えば住み続けられる賃貸マンションとは違い、分譲賃貸マンションは借りられる期間が決められている場合があります。
一般的に、分譲賃貸マンションは長期の出張や転勤など家主が家を空けるタイミングに合わせて貸し出されるためです。
物件によってはとくに期限が定められていないケースもありますが、中には急に家主の帰宅が決まり、退去を余儀なくされるケースもあるということを理解した上で契約しましょう。
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居住用のマンションを賃貸用として出す場合にかかる費用
自宅を賃貸物件として貸し出す際は、部屋を手直しするための初期費用と、部屋を維持するためのランニングコストがかかります。
初期費用
それまで自分が生活していた部屋を第三者に貸し出すとなると、細かい部分の手直しが必要になる可能性があります。
とくに既存の設備に故障や破損がある場合、適切に修理しておかないと借り手を見つけるのが難しくなります。
機能面だけでなく見た目も重要となるため、必要に応じてリフォーム工事やハウスクリーニングが必要になるかもしれません。
また、先にお伝えした通り、住宅ローンから投資ローンに切り替える際は手数料が発生します。
初期費用は最低でも数十万円、高額になると百万円以上かかると考えておきましょう。
ランニングコスト
分譲マンションを賃貸として出すにはいくつか方法がありますが、いずれにしても分譲マンションの所有者には毎月の管理費や毎年の固定資産税を支払う義務が発生します。
管理費や修繕積立金については毎月の賃料に上乗せすることで、入居者から回収することも可能ですが、その分同じような物件に比べて家賃が高くなるため、借り手が見つかりにくい可能性があります。
一方、不動産会社に賃貸管理を依頼する場合は、毎月賃料の5〜10%程度の手数料を支払うのが一般的です。
契約中は維持や管理を一任できるというメリットがありますが、万が一途中で入居者が変更になる場合はクリーニング代、新たな入居者を探してもらう場合は仲介手数料が必要になるため、それらもランニングコストとして考えておくと安心です。
収支を考慮した上で分譲マンションの賃貸運営を行うことが大切
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、居住者から見る分譲賃貸マンションのメリットやデメリット、運営コストなどについてご理解いただけたと思います。
住宅ローンを投資ローンに乗り換えることができれば、今住んでいる分譲マンションを第三者に貸し出すことが可能です。
ただし家賃収入だけでなく、初期費用やランニングコストが発生するということを理解した上で賃貸運営を行いましょう。