オフィス賃貸保証に保証会社は必要? 連帯保証人との違いやそれぞれのメリット・デメリット
これから起業する方で、オフィス物件を借りようと考える方に必要となるのが、連帯保証人です。しかし最近は、保証会社を利用してくださいというケースも増えてきました。
住宅でも賃貸の際には保証人が必要であるため、用意しなければならないことは知っていても、そもそも保証人や保証会社はどうして必要なの? と思う方もいるでしょう。
本記事では、オフィス賃貸の際に保証会社や連帯保証人が必要かどうか、その役割、利用をおすすめする場合などを紹介します。
目次
オフィスを賃貸する際に保証会社は必要?
近年では、オフィスを賃貸するときには保証会社の利用を求められることが増えてきました。
保証会社とは、家賃の連帯保証をするサービスを提供している会社のこと。オフィスの家賃滞納に悩む物件オーナーが多いため、滞納の際に家賃を立て替えてくれる存在として注目を浴びています。
保証会社を使う大きなメリットとしては、社会的信用を補完できることです。
たとえば開業したての企業であれば、まだ社会的信用がありません。オーナー側は損失を出すことを避けるため、万が一のときに費用を請求できる人や担保を立てない限り、オフィス用物件を貸し渋ります。
そんなときに使うのが保証会社です。保証会社を利用すれば、家賃滞納時には保証会社が借主の代わりに家賃を支払ってくれるため、オーナー側が安心できます。
また保証会社は万が一の家賃だけでなく、管理費・更新料・設備破損時の弁償費用なども負担し、金銭的な債務を請け負ってくれるため、借主としても安心できるでしょう。
多くの場合、物件の借主は保証会社に毎月家賃を支払い、保証会社がオーナーに支払います。万が一滞納となれば保証会社がオーナーに家賃を立て替えて支払うため、借主は保証会社へ返済しなければなりません。
保証会社の利用をおすすめするケース
一般的に保証会社の利用をおすすめするのは以下のようなケースです。
【保証会社の利用をおすすめするケース】
- 設立年数が5年未満
- 連帯保証人が代表者になっている
- 社員数が10人以下
- 代表者もしくは連帯保証人が外国籍
- 大手の不動産会社
- 決算書の内容が良くない
設立年数が5年未満
企業としての歴史が短いと、物件のオーナーは多くが不安になります。実際に法人の設立年数が短い会社は倒産するリスクが高いため、社会的にリスクとみなされるのです。
そのため、設立から10年を超えるまでは保証会社の利用を求められることが多いでしょう。
連帯保証人が代表者になっている
企業の代表経営者が連帯保証人になるケースは当たり前のこと。しかし、経営がうまくいかなければ代表者の収入もなくなるため、連帯保証人としては不安を感じる貸主が多いのも事実です。
この場合は他に連帯保証人を求めますが、用意できなければ保証会社の利用をすすめられます。
社員数が10人以下
社員数が10人以下と少ない場合にも、倒産するリスクが高いと考えられます。回収不能にならないように、保証会社の利用を求められる可能性が高いでしょう。
代表者もしくは連帯保証人が外国籍
企業の代表者や連帯保証人が外国籍である場合、保証会社の利用が必須になることもあります。理由は、外国の人は日本の不動産についてその風習や習慣を理解していないとみなされるからです。
大手の不動産会社
大手の不動産会社が募集を行っている場合には、保証会社の利用が必須のケースがあります。
決算書の内容が良くない
オフィスを借りる際には、決算書の提出が必要なこともあります。その内容があまり良くない場合や来期の売り上げ予想が経っていない場合などには、保証会社の利用が求められるでしょう。
オフィスの賃貸契約で連帯保証人は必要?
オフィスの賃貸契約を結ぶ場合、必須と言われているのが連帯保証人です。
連帯保証人とは何か、連帯保証人になるために必要な条件や審査についてみていきましょう。
関連記事:オフィス契約のメリット・デメリットとは?契約までの流れを徹底解説
連帯保証人とは
連帯保証人は、借主と同等の責任を負う人のこと。連帯保証人制度は日本特有とも言われています。
たとえば借主が家賃を滞納したときや設備を壊して弁償しなければならないときなどに、本人に代わって支払いをする義務が生じます。
以前は責任の範囲が無制限だったため、借主がトラブルを起こすと連帯保証人は際限なく請求され続けることがありました。しかし2020年の民法改正により、現在は限度額を契約書に明記しなければなりません。そのため、限度額が記載されていない連帯保証人の契約は無効になります。
連帯保証人になる条件
連帯保証人は誰でもなれるわけではありません。ただし法的に明確な条件があるわけではないため、取引先の不動産会社の考え方次第で条件は変わります。
基本的に条件とされるのは、以下の3つです。
【連帯保証人の条件】
- 継続的な収入がある
- 反社会的団体にかかわっていない
- 収入を証明できる
多くの場合は、代表者の親族に連帯保証人を頼みます。責任が重い役割であるため、第三者にとって大きなリスクになり得るからです。
連帯保証人になる審査
連帯保証人になるための審査では、以下の必要書類を用意しなければなりません。
【連帯保証人の審査で必要な書類】
- 印鑑証明
- 収入証明
- 保証人承諾書
- 住民票
場合によっては貯金額や月収なども確認されるケースがあります。
保証会社を選ぶ際に押さえておきたいポイント
保証会社によって保証する範囲や手数料(保証料)が違います。相手がこちらを審査するように、こちらも保証会社が問題ないかどうかを確かめましょう。
保証会社を選ぶ際に押さえておきたいポイントは次の5つです。
【選ぶポイント】
- 保証内容と範囲(家賃滞納時の対応や退去時のサポートなど)
- 保証会社の信用度
- 保証期間
- 保証履行の要件
- 代理店制度の有無
保証会社の信用度は、系列や業歴、財務内容などを確認して判断してください。
また、上記のことを保証会社の担当者が説明してくれるかどうかも大切なポイントです。代理店制度そのものが悪いわけではありませんが、重要なことを直接説明せず代理店に任せる会社との契約はおすすめしません。トラブルが起きたとき、スムーズな対応があるか、話す相手が決まっているかどうかで、事態収拾までの期間は違ってくるからです。
事業用保証会社と個人連帯保証人はどちらがよい?
オフィス賃貸では、事業用保証会社と個人連帯保証人のどちらを利用すべきでしょうか。それぞれのメリットとデメリットを説明します。
事業用保証会社のメリット
保証会社を利用する場合、考えられるメリットは次の3つです。
【メリット】
- 信用を補完できる
- 家族や知人にリスクを負わせずに済む
- 物件が借りやすくなる
前述した通り、事業用保証会社を使うと足りない信用を補完できます。貸主は費用回収ができないことを恐れるため、そのリスクを低くすることで希望の物件を借りやすくなるでしょう。
また、連帯保証人は責任が重く、最悪の場合「人生をかける」リスクを伴うものです。保証会社を利用すれば、身近な人にその責任を負わせずに済みます。
事業用保証会社のデメリット
一方、デメリットとしては、費用総額が上がること。家賃とは別に保証料の支払いが必要なため、出費が増えます。
事業の固定費の中でも大きな割合を占める家賃は少しでも抑えたいところです。そのため、保証料やその内容をしっかり比較して契約を検討するようにしましょう。
個人連帯保証人のメリット
個人の連帯保証人を立てるメリットは、次の2つです。
【メリット】
- 特別な費用がかからない
- 物件が借りやすくなる
連帯保証人はその責任の重さから、基本的には身内や近い知り合いなどになってもらいます。引き受けてくれたお礼はするとしても、保証会社のように大きな手数料を支払う必要はありません。
また、収入を証明できる人に連帯保証人になってもらうことで、物件を借りやすくなります。
個人連帯保証人のデメリット
個人に連帯保証人になってもらうデメリットは、人間関係が危うくなることでしょう。
家族に引き受けてもらえると良いのですが、身寄りがいない人もいます。そのような場合には知人や友人に声をかけるかもしれません。
しかし、最悪の場合自分の人生をかけなければならない役割を、好んでなりたがる人はいません。そのため家族間で不仲になったり、友人関係が終わってしまったりする人も出てしまいます。
オフィス賃貸の契約では信用が重要! 保証人と保証会社について理解を深めよう
一般的な居住物件と比べ、オフィス物件は家賃が高くなりがちです。そのため確実に費用回収しようと、貸主は連帯保証人か保証会社の利用を求めてきます。
連帯保証人はかつて契約に必須の条件でしたが、最近では保証会社の利用が増加、もしくは両方必要というケースもあるようです。
いずれにせよ、求められているのは社会的信用です。条件をしっかりと確認し、ベストな方法や保証会社を選べるようにしておきましょう。